後悔のない30代を送るために必要なことは何なのか? ライフ&ビューティディレクターとして活躍する渡辺佳恵さんと、『30代を後悔しない50のリスト』の著者・大塚寿さんが語る、30代で身につけたい仕事への取り組み方と目標設定について。

30代で訪れたチャンスを
いかにしてつかんだか

大塚:渡辺さんは、2001年に小学館『CanCam』の嘱託編集者から、同誌初のエディトリアルディレクターに、2002年には初のファッションディレクターに就任されていますが、そのチャンスはどのようにして訪れたのでしょうか?

30代は仕事とプライベートを線引きしない!<br />「楽しむ工夫」が人生を大きく変える<br />渡辺佳恵×大塚寿 対談【前編】わたなべ・よしえ/1969年東京都生まれ。『CanCam』の元カリスマ編集者。同誌ブームの立役者となる。現在は、ファッション・コスメブランド、美容雑誌のコンサルティング、レストラン・ネイルサロン・イベント・タレント本のプロデュース、タレントのイメージ戦略構築など、多方面で活躍中。2010年「託児所付きトータルビューティビル」rinatoを、代官山にオープン。来春には小学館から初の著書『「自ブラ」で成功本。』が発売される。http://www.watanabeyoshie.com/

渡辺:当時、『CanCam』の売れ行きはあまり芳しくなかったんです。そこで、『CanCam』を抜本的に改革したいという編集長の考えのもと、その突破口としてファッションディレクターをやってみないか? とお声をかけていただいたのが私でした。編集長からは「とにかくどうやったら『CanCam』が売れるかだけを考えてほしい。ひたすらそれだけを考えて、いろいろ改革して『CanCam』を売れる雑誌にしてほしい」って言われたんです。

 私は学生のころから編集部に出入りして、ファッション誌ライターとして活動してきました。それ以来、10数年の間ずっと『CanCam』に携わってきたなかで、誌面全体を見渡してみると、「もっとこうしたい」と思うことがたくさんあったんですよね。やりたいことがたくさんあったから、ファッションディレクターもできると思ったんです。つまり、もっとこうすればいいのにとか、もっと『CanCam』はこうあるべきだとか思ってきたことをかたちにしたら、きっとうまくいくはずだと思いました。それで、編集長のご提示をお受けしたんです。迷いはありませんでしたね。

30代は仕事とプライベートを線引きしない!<br />「楽しむ工夫」が人生を大きく変える<br />渡辺佳恵×大塚寿 対談【前編】おおつか・ひさし/1962年群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。30代で起業、結婚、出産、育児、家の購入のすべてを経験し、人生の土台づくりを行う。また、積極的に地域社会と関わり、仕事と家庭の両立も行うことで、40代で年収を10倍アップさせた。著書に『40代を後悔しない50のリスト』なと多数。 http://emamay.com/

大塚:私の新刊『30代を後悔しない50のリスト』でも、1万人の後悔リストの中に「チャンスにすぐ対応すればよかった」という項目があります。チャンスにすぐに飛びつくべきだというのは誰もがわかっていますが、アタマではわかっていても、実際には簡単ではないですよね。渡辺さんの場合、何かチャンスの気配というのはありましたか? これは私が待っていたチャンスだという前兆みたいな。

渡辺:雑誌って売れなくなると、いろんなことをとにかく試行錯誤してみるんですよね。いいときって、人は物事を変えようとはしない。でもダメなときって、人はいろいろと変えようとしますよね。あの時の『CanCam』もそうでした。だから、そういう話が誰かにあってもおかしくはない状況だな、とは思っていました。

 けれど、ただの一介のライターだった私が、ファッションディレクターで契約しないかと言われたときに、結果が出せないかもしれないし、前例もないことなので怯んでしまって、断っていたとしたら……。収入も不自由ない程度はありましたし、なにもわざわざ荒波に行くこともなかったんですよね。でもやってみたい、やれる気もすると思って飛び込んだことは、結果としてすごくよかったなと本当に思っています。あのとき、チャンスにすぐに対応した自分の決断に、後悔はありません。