いま、世界中の政府は行き詰っている。複雑化した世の中の問題や社会の問題を解決する、「新しい担い手」を誰に求めるか。
米国のオバマ政権、英国のキャメロン政権、日本の民主党政府は、「社会起業」の力を動員しようと動き出している。
連載第3回では、世の中に変化を起こす自発的なリーダーや組織を育成するために、政府が何をできるのか、を考えたい(『社会起業家になりたいと思ったら読む本』では1章の【4:政府とできること】に掲載)。

政府は、“自発的に動きだす”担い手を探している

 みなさんもご存知の通り、世界中の政府は行き詰まっている。複雑化した世の中や社会の問題に対応しきれず、コストや大量の実務が圧しかかってくる。政府こそ、「助けてほしい」のが本音だろう。

 だから、いま「新しい担い手」を、市民や民間セクターに求め始めている。米国のオバマ政権はそれを「Office of Social Innovation and Civic Participation」に求め、英国のキャメロン政権は、これを「Big Society」構想と呼び、政府の役割を新しく定義し直そうと躍起である。

 日本でも、民主党政府は新しい公共として打ち出した。だが、悩ましいのは、政府が、担い手、つまり“自発的に動きだす人”をどうやって増やすのかということだ。

「自分たちで動くように」+「支援する」、というのは、“何かを買ってあげてしまう”より、“子どもにやる気を出してもらう”ほうがずっとむつかしいのと似ている。

 支援する、という行為はどうしても、依存関係をつくりやすく、自発性を損なってしまうことが多いからだ。では、いま何が必要なのか。そのヒントを紹介しよう。