2月7日から中国のお正月、いわゆる旧正月が始まった。世界中、中国人が経営する店はどんな日も休みなしで開店しているが、この期間だけは1週間も閉店する。日本はお正月といえば実家に帰省する人が多いが、中国でも同じである。都市部に出稼ぎに働きに出かけている人も旧正月だけは必ずといっていいほど地方に帰省する。日本にいる中国人の場合は、帰省先は中華街に集まる。ギョーザを作って食べるのが旧正月の通常のならわしだ。しかし今年ばかりはそうもいかない。

 1月28日頃から騒がれだした中国製ギョーザ中毒事件は、31日にはトップニュースとして日本中を横断した。中国では仮に食品によって死亡者がでたとしてもここまで騒ぎにはならない。

 中国製ギョーザ中毒事件は、1週間経過した今でも毎日多くの時間を割いてテレビで報道されている。スポーツ新聞もこの記事によっていつもより駅売りが増えたそうだ。

 死に至るかもしれない危険性の高い薬品が混じっていたとあって、「中国の食品=薬品=毒物混入」と大変危険な印象が根付いてしまった。賞味期限の偽造をしていた日本の食品会社どころではない。これまで食の安全に無頓着だった人も、もう無関心ではいられない。

中国食品の風評で
直接打撃を受けた中華街

 さて、この中国食品のイメージ悪化に影響を受けているのが、横浜の中華街である。ここ最近の中華街訪問客数をみてみると、それは明らかだ。中国産品の危険性を指摘する報道が出始めた昨年4月ごろから、人は減り始めたが、「段ボール肉まん報道」があった7月には、訪問客は2割減少した。

 今回の中国製ギョーザ中毒事件が発生してからテレビ取材などのために私は何度も中華街に足を運ぶことになった。今回の騒動でさらなる集客悪化が憂慮されるが、中華街の中でもこの騒動は長引くと懸念されており、なかでも影響は小規模店ほど大きいようだ。ギョーザ専門店はすでに店が閉まっており、看板だけが掲げられていた。