トヨタ・ベルギーの関係者が、あっけらかんと言う。

 「ウチもそうですし、他のEU各国でも、例のリコール問題の影響はほとんど出ていませんよ」。

 トヨタは、カローラファミリーの欧州主力製品「オーリス」に1.8リッターハイブリッド投入を発表。さらに同ユニットは、レクサスのエントリーモデル「CT200h」にも搭載される。

 三菱自動車関係者が、筆者の問いに少し困った顔で言う。

 「え~、まぁ~そうですよね、フランス企業との関係構築は難しいですし・・・」。

ジュネーブモーターショーで、新型コンパクトSUV「ASX(日本ではRVR)」を発表する三菱自動車の益子修社長

 その会話の直後に行われた、新型コンパクトSUV「ASX(日本ではRVR)」の記者会見。壇上の益子修・三菱自動車社長の表情に疲れが見えたのは、筆者の気のせいではなかった。それもそのはず、同氏はPSA(プジョーシトロエン)のフィリップ・バラン会長との間で、両社の資本提携の見送りについて、最終合意していたからだ。その後、日本に帰国した益子社長は記者団に対して「技術提携については続行する」と語り、同社の電気自動車「i-MiEV」のプジョー版、シトロエン「C-ZERO」の予定通りの欧州発売を示唆した。

 ここは、スイス南部のジュネーブ。毎年恒例のジュネーブ・モーターショー(一般公開は3月4~14日)が開催されていた。

 欧州での主なモーターショーというと、独フランクフルトショー、仏パリショーが名高い。だが、この2つのイベントは9月に隔年開催されている。対するジュネーブショーは毎年3月開催で、その規模はフランクフルト、パリと同等の欧州最大級だ。

 今回のジュネーブショーには、今年1月北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)を“欠席”した日産や三菱、スズキ、ポルシェなど日米欧韓中の主要全メーカーも参加した。加えて、例年どおりイタリアを中心とするカロッツェリア(デザインスタジオが主業で、小規模生産も行うメーカー)や独チューニングカーメーカーの姿も多かった。

 ここでは、通称PIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)の財政危機や、東京モーターショーの衰退などは無縁に思える。従来のモーターショーらしい「ドリームワールド」が花開いていた。