【第1回】 2009年04月30日
日本の出版社を突如襲った
“想定外”の和解問題
ここ1か月あまり、出版界の話題は「グーグル和解問題」で持ちきりです。この業界に長年身を置き現在法律を生業としている筆者も、行く先々でこの問題についての質問を受けます。これほど出版界を揺るがす「グーグル和解問題」とは何か。この問題の本質は何かを見ていきましょう。
「グーグル和解問題」とは何か?
事の発端は、2004年にグーグルがアメリカ国内の図書館などと提携して、書籍の本文を電子的にコピーしデータベース化したことでした。これを「グーグルライブラリプロジェクト」と名づけ事業をスタートさせたのです。これに対し、2005年9月、米国作家組合は、著作権侵害を理由としてグーグルを相手に訴訟を提起しました。追って主要出版社も同様な訴訟を提起しています。
グーグルはこの事業を、公正な利用すなわち「フェアユース」であると位置づけ、権利者の許諾なく進めてきました。それに異議を唱えたのがこの訴訟だということになります。この訴訟の結果は、著作物をフェアユースの名の下にどこまで自由に使えるのか、という問題に一定の判断が下されることになるので、衆目を集めることとなりました。その結果が昨年10月の和解ということでした。つまりグーグルも作家協会らもフェアユースの問題に結論を出すことなく、和解することで合意したのです。
和解案は150ページ以上に及ぶ長大なものですが、その骨子をかなり乱暴に要約すると、
(1)すでにデジタル化されている書籍については、作家などの権利者に1冊あたり60ドルをグーグルが支払う。
(2)今後グーグルが運営する「書籍データを利用したサービス」の全収益の63%を権利者に分配する。
(3)書籍の権利者は、データベースからの削除や使用方法の一部禁止をグーグルに対して求めることができる。
というものです。
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著者プロフィール
- 村瀬拓男
(弁護士)
1985年東京大学工学部卒。同年、新潮社へ入社。雑誌編集者から映像関連、電子メディア関連など幅広く経験をもつ。2005年同社を退社。06年より弁護士として独立。新潮社の法務業務を担当する傍ら、著作権関連問題に詳しい弁護士として知られる。
この連載について
グーグルの書籍データベース化をめぐる著作権訴訟問題は、当事国の米に留まらず日本にも波及している。本連載では、このグーグル和解の本質と、デジタル化がもたらす活字ビジネスの変容を描いていく。
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