【第4回】 2009年06月03日
グーグル問題が日本の出版社につきつけた「絶版」の定義
アメリカから原告側弁護士が来日
5月25日から3日間、アメリカでの訴訟における原告側となる全米作家組合、全米出版協会の代理人弁護士らが来日し、日本書籍出版協会、日本文芸家協会、文化庁著作権課などを訪れ、今回の和解案について説明を行いました。新聞各紙が割と詳しく報道していましたが、文芸家協会副理事長三田誠広氏が「世界の作家の権利を守るための和解案を高く評価したい」「絶版の定義は明確になった」と述べて受け入れる考えを明らかにしたことにより、なんとなく問題が収束しつつある雰囲気が出てきました。
ここで原告側代理人が説明したことは、今回の和解案における「市販されている」か否かは、アメリカ国内の流通状況ではなく、書協のデータベースや日本のアマゾンでの取扱状況などにより判断される、ということです。このことは前回のコラムに書いた通りです。
具体的に言えば書協のデータベースにおいて「入手可能」とされておりAmazon.co.jpや紀伊国屋BookWebで注文を受け付けているものは「市販されている」ものであって、著者及び出版社が希望しない限り「表示使用」の対象とはならない、ということです。逆に「市販されていない」ものは「絶版」であって、「表示使用」の対象となるということになります。三田氏が述べているように「(和解案における)絶版の定義は明確になった」と言えるでしょう。
しかしこれで問題が解決したわけではありません。多くの出版社においては、その出版社の出版目録には掲載されていても、実際に在庫がなく入手できない本が多数存在します。重版のタイミングが遅かったため一時的に品切れ状態となることはありますが、ここで問題となるのは在庫切れにもかかわらず,重版の予定がないケースです。通常のオフセット印刷の場合は、500から1000部程度は作らないとコストが合いません。注文数がそれに満たない場合は、出版社は過剰な在庫を抱えることになりますから、捌ける見込みが立つまで重版を行わないことになります。
「品切・重版未定」という書籍は
絶版と違うか
今年の5月末現在、書協のデータベースである「データベース日本書籍総目録」には、136万5252点の登録があり、その内「入手可能」は82万6465点、問題となる「品切・重版未定」は43万9687点、「絶版」は9万9100点です。データベース自体はグーグルや大手書店、出版取次に対して提供されている他、「入手可能」な本のみhttp://www.books.or.jpで公開され、アマゾンなどのオンライン書店とリンクしています。この約44万点の本はどう取り扱われるのでしょうか。
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著者プロフィール
- 村瀬拓男
(弁護士)
1985年東京大学工学部卒。同年、新潮社へ入社。雑誌編集者から映像関連、電子メディア関連など幅広く経験をもつ。2005年同社を退社。06年より弁護士として独立。新潮社の法務業務を担当する傍ら、著作権関連問題に詳しい弁護士として知られる。
この連載について
グーグルの書籍データベース化をめぐる著作権訴訟問題は、当事国の米に留まらず日本にも波及している。本連載では、このグーグル和解の本質と、デジタル化がもたらす活字ビジネスの変容を描いていく。
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