【第8回】 2009年07月29日
グーグル和解案は、デジタルならではの利用方法を提唱するもの
「有効利用」とは何か
今回は「デジタル化」された「本」がどのように利用されるのか、という観点からグーグル和解問題を見ていきたいと思います。
前々回、著作権法改正によって国会図書館でのデジタル化が許容され、その附帯決議でデジタル化された本の有効利用を図る旨が決められたことをお伝えしました。どのように利用することが「有効利用」にあたるのか、という問題です。
従来国会図書館においては、本の閲覧の他、全体の半分までのコピーを行うことができました。今回の改正著作権法では、紙の本(原本)に代えてデジタルデータの使用をすることができることになり、館内設置のモニターによる閲覧、デジタルデータからのコピー作成となります。ここには法律上の問題はありません。
また、絶版などの理由で入手困難な本が、他の図書館からリクエストされた場合は、コピーを作って送ることができましたが、ネットを使って送信することができるのかという点については、著作権法上疑義があります。物理的なコピーを作ることについては著作権法31条1項3号によって明文で権利制限が行われていますが、ネットでの送信は送信権という複製権とは異なる権利とされているため、権利制限はできない、すなわちネットでの送信はできないと解釈されるためです。
さらに国会図書館現館長の長尾氏の構想によれば、国会図書館の外部に設立する電子出版物流通センターから利用者に対しデジタル化された本を提供することになりますが、ここでの提供方法は、図書館での貸し出しに似たスタイル、すなわち一定期間利用可能な状態での送信という形が考えられているようです。
定められた期間が過ぎると再生できなくなるようなプロテクトを施すのですが、利用者から見ると返却する必要がない「レンタル」ということになります。長尾構想によるとこの部分は利用者から料金を徴収しますので、電子貸本屋の誕生ということになるでしょう。もちろんこのような利用は公衆送信権・送信可能化権の行使になりますから、権利者の許諾が必要です。
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著者プロフィール
- 村瀬拓男
(弁護士)
1985年東京大学工学部卒。同年、新潮社へ入社。雑誌編集者から映像関連、電子メディア関連など幅広く経験をもつ。2005年同社を退社。06年より弁護士として独立。新潮社の法務業務を担当する傍ら、著作権関連問題に詳しい弁護士として知られる。
この連載について
グーグルの書籍データベース化をめぐる著作権訴訟問題は、当事国の米に留まらず日本にも波及している。本連載では、このグーグル和解の本質と、デジタル化がもたらす活字ビジネスの変容を描いていく。
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