【第42回】 2010年02月02日
日本が米中に対して強い外交交渉力を持ち得る余地はどこか
名護市長選で普天間基地の同市辺野古への移設に反対する稲嶺進氏が当選し、日米関係が更に動揺している。国際関係全体を見ると、「米中G2新時代の幕開け」と言われ、日本がG2の中で埋没するのではないかという懸念も広がっている。
今回は、今後の日本外交の方向性を、米国・中国・日本の「外交交渉力」比較という観点から考えてみたい。
米国・日本・中国の
外交交渉力を考える
日本では、日本と外国の意見対立を即、「信頼関係喪失」とみなす論調が多い。しかし、この連載では日中・日米関係は揉めているくらいがいいと論じてきた(第5回、第39回)。これは「国家の外交交渉力」を「軍事力」と「経済力(金の貸し借り+援助の有無)」に基づいて考える私なりの方法論に基づいている。
「軍事力」については、シンプルに軍事力が強い国が強い交渉力を持つ。しかし「経済力」については一般的な印象とは逆で、「借金している国」が強い。
これは、借手が借金を返済できない時、貸手は手も足も出せず、借手が潰れないように更に貸し出すしか、借金を返済してもらう方法がなくなるからだ。つまり、貿易赤字国は黒字国より、債務国は債権国より交渉力が強い。
また「援助」は、それを相手国に与えてしまったその瞬間に、交渉カードとしての力を失う(第2回)。日本はこの「経済力」と「交渉力」の関係を逆に考えた政策を打ち出しているために、経済大国の割に、国際社会でのプレゼンスが小さい。
そこで、「軍事力」「経済力」に基づいて、「日米」「米中」「日米」の3つの二国間関係を考える。
まず「日米関係」。「軍事力」については、米軍の圧倒的な軍事的優位のみならず、日本領内に米軍が駐留し、日本の安全保障を米軍に依存している「日米同盟」下では、日本が交渉力を持てる余地はない。
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著者プロフィール
- 上久保誠人
(早稲田大学グローバルCOEプログラム客員助教)
1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文 タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。
この連載について
「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった大手マスコミ政治部の取材手法とは異なり、一般に公開された情報のみを用いて、気鋭の研究者が国内・国際政局を分析する。
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