【第61回】 2009年01月23日
オバマ経済対策に早くも疑問の声
巨額財政赤字の副作用は日本を直撃する
米国では連休明けとなった20日。世界は、ワシントンで行われた、米国では黒人初のバラク・オバマ大統領の就任に沸きかえった。しかし、この歓喜の渦とはあまりにも対照的なことに、同じ日、ニューヨークの株式市場はダウ工業株30種平均が前週末に比べて300ドル以上も急落する事態に陥った。昨年11月半ば以来という8000ドル割れを記録したのである。
米国では、大統領の就任から3ヵ月あまりを「ハネムーン期間」と呼ぶ。この間は、議会やメディアがそろって新大統領に対する批判を控えて、その船出を見守る慣例なのだ。
ところが、今回、株式市場は、新大統領の就任のその日から、この慣例を無視した。いわゆるご祝儀相場が存在しなかったのだ。
過去数ヵ月、世界経済の唯一の危機脱出の期待の星だった「オバマ経済対策」に早くも翳りが出た印象は否めない。いったい、市場は、オバマ経済対策の何に失望を感じ始めているのだろうか。
就任への期待感に全米が沸くも
マーケットの反応は鈍く
オバマ大統領は、1937年に就任したフランクリン・ルーズベルト大統領以来の伝統にのっとり、首都ワシントンで就任式に臨み、第44代の大統領に就いた。寒波の来襲で気温は氷点下だったにもかかわらず、その模様を一目でも見ようと、180万人を超す人々がワシントンの街に繰り出した。直接、ワシントンに行けなかった多くの人々は、各地の大型スクリーンや事業所、自宅のテレビの前に陣取った。加えて、インターネットのライブ中継で、宣誓式や就任演説、就任パレードなどの様子に見入った人は2130万人に達したという。まさに世界の視線が釘付けとなったのだ。
そして、これらの人々は、オバマ大統領の演説に酔いしれた。その経済危機に関する対応の柱を抜粋すると、
「我々は危機のまっただなかにいる。経済は一部の人々の強欲と無責任の結果、ひどくぜい弱になった。新しい時代の準備をしてこなかった全体の失敗とも言えるが、(多くの人が)家が失われ、仕事も奪われた。企業は破綻した。健康保険はコストがかかりすぎ、多くの学校が荒廃している」
「直面している危機は現実のもの。深刻で大変な危機である。とても短期間では解決できないが、必ず解決できる」
「我々は依然として地球上で最も強い国家。労働者の生産性が落ちたわけではない。立ち上がり、ホコリを落とし再生する作業を始めなくてはならない」
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著者プロフィール
- 町田徹
(ジャーナリスト)
1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。
この連載について
硬骨の経済ジャーナリスト・町田徹が、経済界の暗部や事件を鋭く斬る週刊コラム。独自の取材網を駆使したスクープ記事に期待!
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