日産自動車は8月2日の日曜日、横浜市で新本社の竣工式を行い、その場で同社の期待を集める電気自動車「リーフ」(「葉」の意)のお披露目を行った。竣工式には、小泉純一郎元首相らの政治家が来賓として参加して、この場のお祭りムードをおおいに盛り上げた。
だが、肝心のリーフの発売は、来年度の後半のことに過ぎない。なぜ、日産は、時期外れで、間延びする感を免れえないはずのリーフのお披露目を、あえて、このタイミングで強行したのだろうか。
41年ぶりの創業の地・横浜市への復帰―。
2004年6月の計画の発表以来の懸案だった本社移転プロジェクトを、ついに日産は実現した。横浜市西区のみなとみらい21地区に完成した新本社ビルは、地上22階、地下2階建ての威容を誇る。床面積は約80000平方メートルに及び、2800人の社員が勤務する巨大オフィス・ビルになるという。
新本社ビルは、積極的な外気の活用、効率的な空調システムの採用、そして資源の再利用などに努めた結果、CO2の排出量が年間10200トンと東京・銀座の旧本社ビル(本館、新館の合計)に比べて3800トンの削減を達成したそうだ。
2日に行われた竣工式には、小泉元首相だけでなく、松沢成文神奈川県知事、7月に辞意を表明し物議をかもしたとはいえ、まだ現役の中田宏横浜市長ら、地元を代表する政治家が勢揃いして、出席者たちを驚かせた。中でも、中田市長は、1933年の創業の地への帰還を果たしたことに「日産、お帰りなさい」と挨拶し、お祝いムードを盛り上げたらしい。
そして、日産が、この竣工式のもうひとつのサプライズとして準備したのが、同社の大型戦略商品である電気自動車リーフのお披露目だった。
リーフは、リチウムイオンバッテリーを搭載した量産電気自動車だ。1回の充電によって、実用に必要な160キロメートルの連続走行を可能にしたことが売り物だ。最高速度は時速140キロメートルに達する。国による手厚い補助が前提とはいえ、価格も「お求めやすい価格」を実現すると強調している。
日産のカルロス・ゴーン社長は「エミッションが少ないのではない。エミッションがゼロとなるクルマだ。新しい時代に向けた最初の一歩である」と誇らしげに胸を張った。