日産自動車の中国における乗用車販売が、日系ライバルメーカーを上回る勢いで好調に推移している。中国事業への出遅れを挽回できたのは、投資効率を重視して車種を小型車に絞った戦略が当たったためだ。現在、内陸部に積極的な出店攻勢とPRをしかけ、2012年には24万台分の生産ラインを追加する中国法人、東風汽車有限公司(東風日産、湖北省武漢市)の中村公泰総裁に聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)
東風汽車有限公司(東風日産、湖北省武漢市)の中村公泰総裁 |
―日産は中国で乗用車販売が好調だ。
販売台数は4月で前年同月比37%増、直近で41%増となっている。販売を牽引しているのは、自動車取得税が優遇減税対象になっている「ティーダ」など排気量1.6リットル以下の小型車だが、排気量の多い車も堅調だ。我々の旗艦車である「ティアナ」は毎月8000台超が売れており、1.6リットルのほか2.0リットルモデルもある「シルフィ」には毎月1万台超の受注が入っている。
販売店1店舗平均の販売台数は昨年で約1000台だったが、これは日系ライバルメーカーを上回る水準であり、現在も上回ったままだ。最近は1ヶ月以内、1週間以内に買いたいというホットなお客が増えている。中国のインターネット検索サイトで表示順位が上がるなど、東風日産の知名度も確実に上がっている。
―どの地域で販売が伸びているのか。
沿岸地域ほど経済が発展していない内陸部だ。今年1~5月の販売台数を対前年度伸び率でみると、一級都市(上海・北京などの10都市)は1%増とほぼ横ばいだったのに対し、二級都市(一級都市を除く各省の省都22都市)では15%増、三級都市(中小の309都市)では23%増だった。直近では、二級都市の伸び率は三級都市を上回っている。
二級、三級都市が集中する内陸部の経済は、沿岸地域ほどまだ輸出に支えられていないため、昨年からの世界的な経済低迷の影響をそれほど受けなかった。