「現在、当社の国内拠点には900人ほどのコンサルタントが在籍しています。特徴として挙げられるのは、そのコンサルタントたちが高い専門性を備えているということです。各業界や職種に特化したチームでワークしています。6〜7人から成るチームが140ほどあり、それぞれが専門性を有しているのです。各業界についての専門的な知識を持ったコンサルタントが単独ではなくチームで転職候補者をサポートしています。これまで働いてきた業界を超えて転職するケースに対しては、その方の可能性を最大限に引き出すために複数のチームが連携してサポートします」(早川氏)

30代以上の転職は「深耕」が9割。信頼できるコンサルタントとの対話から生まれる成功への最適解とはジェイ エイ シー リクルートメント
早川徳二 執行役員
2006年にJAC入社。「一期一会、全ての転職候補者にとってかけがえのない存在」になることをモットーとして、自動車・機械業界の転職コンサルティングを中心に、15年以上のキャリアで延べ100人以上の転職成功実績を持つ。19年から同社執行役員を務める。

「私どもは、クライアント(=企業)に対しても転職候補者に対しても、一貫して『本当に求めているものは何か』との問いからスタートします」(平本氏)

マーケティングの世界で長く愛されてきた格言がある。それは、元ハーバード・ビジネススクール名誉教授のセオドア・レビット博士が、1968年に出版したベストセラー本『マーケティング発想法』の冒頭に出てくる一節。世界中の言葉に翻訳され、語り継がれてきた「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」というものだ。

「ドリルはあくまでも手段であり、お客さまが求めているもの=『目的』は穴です。手段あるいはプロセスの一つにすぎないドリルを目的と捉えてしまうと、転職活動においては不幸なマッチングが発生してしまいます。JACのコンサルタントは転職候補者が本当に求めているもの、真のニーズが何であるかを的確につかみ、本質的な仕事をするように心掛けているのです」(平本氏)

「『転職を通じて何を実現したいのか』。転職候補者と面談をさせていただく際には、その部分をコンサルタントが一緒になって深耕していきます。自分一人では難しい深耕も、その業界に詳しいプロフェッショナルがチームで厚くサポートするのであれば、容易になります」(早川氏)

深耕。すなわち「深く耕すことが大事だ」と、二人は口をそろえる。転職候補者が積み上げてきたキャリア資産の質と量を棚卸しする。それらの価値をあらためて確認する。そして、これからは何がしたいのか。もっと言うなら、未来において自分はどういう人間になっていたいのか……。そういったことを深耕していく。この深耕のプロセスなくして転職は始まらない。「30歳以上の転職は『深耕』が9割」と言ってもいい。

転職候補者が求めている「穴」によっては、転職せずに現職で頑張ることを勧める場合もあるという。これも本質的に転職候補者に寄り添おうとする姿勢の表れだ。

そして、JACのもう一つの大きな特徴として、企業と転職候補者の双方を一人のコンサルタントが担当する「両面型」のコンサルティングが挙げられる。 

「企業担当と転職候補者担当というように役割を分担していないのです。企業の経営者の話を直接聞くことでニーズを深く理解し、同じ担当者が転職候補者の話も聞く。そうすることで、企業と転職候補者の双方にとって間違いのない紹介が生まれると考えています」(平本氏)

「私どもは、常日頃から企業側の経営課題をお聞きしています。すると、『そのような課題解決には、こういったポジションや人材が必要です』といったように踏み込んだ提案ができるようになります。ポジションメークから関わらせていただくことも多いのです」(早川氏)

「その流れでいくと当然ながら、クローズドで話がまとまっていきますね。または、一緒に求人票を作っていくこともあります。そのようにして企業と良好な関係性を築くことにより、良いスパイラルが生まれているのです。そうしたスパイラルを構成しているもの、柱となっているものは企業と転職候補者と私どもによるwin-win-winのリレーションシップです。そういう意味において、本当に幸せな仕事をさせていただいていると感じています」(平本氏)

「過去に私が関わった事例を紹介すると、あるメーカーが欧州の企業を買収したのですが、その後においてなかなかうまくいっていないということがありました。そこで私がお会いしていた転職候補者をご紹介しました。その方はもともと欧州在住で、工場のマネジメントも得意としている方でした。私が直接、メーカーの役員の方にレジュメを持っていったところ、その日の経営会議で話題に上がり、採用へと結び付きました」(早川氏)

日頃から四半期に1度、その役員と早川氏は会っていた。実は、役員にレジュメを渡すひと月ほど前には人事の担当者に同じ人物を提案していた。そこで一度は断られていたのだが、早川氏は諦めることなく再度の挑戦を試みた。クライアント企業の戦略や現状の課題などを把握しているからこそ、ここぞというときに自信を持って動けたのである。