第1回:横山紳・農林水産事務次官インタビュー 「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて
「みどり戦略」では、食料・農林水産業の14分野で2050年までの目標を設定
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──みどりの食料システム法に基づく取り組みの状況はいかがでしょうか。

横山 みどり戦略に基づく環境負荷低減の取り組みを、現場が安心して息長く進めていただくための法的な枠組みとして、2022年7月に「みどりの食料システム法」が施行、同年9月に国の「基本方針」が公表され、それを受けて各都道府県で基本計画の策定が始まりました。2022年度内には全ての都道府県で基本計画が策定される見込みであり、この基本計画を基に、環境負荷低減に取り組む生産者の認定が始まっています。一方、そうした生産者の取り組みに寄与する新技術の提供などを行う機械・資材メーカーなどの認定も始まり、これまでに33事業者の計画が認定されました(2023年3月3日時点)。これらの認定により税制優遇措置などを受けられるようになりますので、それをきっかけとして、さまざまな方々に環境負荷低減に向けて一歩踏み込んだ取り組みをしていただくことを期待しております。

──目標を実現するための技術開発も急がなければなりません。

横山 みどり戦略の目標達成に向けて、例えば病虫害に強く農薬を削減できる品種の育成や、人手不足への対応と環境負荷の低減を可能にする、ドローンによる農薬や肥料のピンポイント散布などのスマート農業技術の開発・普及を国として推進しています。また、先ほどの「みどりの食料システム法」に基づく認定制度においては、例えば堆肥の利用拡大に向け、牛ふん堆肥を軽くて臭いの少ないペレットに加工し広域流通させるなど、化学肥料・化学農薬の使用低減に役立つ機械・資材の技術開発・普及拡大を図る民間事業者の取り組みを支援しています。

第1回:横山紳・農林水産事務次官インタビュー 「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて農薬散布用ドローン(写真左)とペレット化した堆肥(写真右/©農林水産省委託プロジェクト有機質資材コンソーシアム)