真穴地区トップクラスの農園の
栽培方式をデータ化
「真穴(まあな)みかん」のブランド名で知られる愛媛県八幡浜(やわたはま)市。温州みかんの栽培に最適といわれる土、太陽を遮るもののない地形、降雨量の少なさと水はけの良い段々畑。そんな環境の中に、同地区トップクラスの品質と生産量を誇る「黒田みかん農園」がある。現在、その栽培方法をデジタルデータ化し、栽培モデルの拡大を図るプロジェクトが進行中だ。
「黒田みかん農園の優れている点は、糖度の高いミカンを早期に収穫できて、収穫量が多い(同エリアの約1.5倍)こと。ミカンが育つための必要な養分を作り出す葉の量が多いのが特徴です。潅水(かんすい)と施肥を自動で行うマルドリ方式を導入していて、収穫後のミカンの木の回復が早く、水ストレスのかけ方を絶妙のバランスで実現しています。この黒田みかん農園の栽培方法をデータ化して、模倣(クローン)農園を造るのが目標です」
そう語るのは、データ化を担当するアクト・ノード(神奈川県)の百津正樹代表だ。
アクト・ノードは、農業・畜産・水産養殖向けのIT/IoTサービスを提供するベンチャー企業。百津代表は海外で農地開拓から生産まで携わった経験があり、国内で自社のサービスを生かせる生産者を探す中、トライアングルエヒメを軸に黒田みかん農園と出合った。
アクト・ノードでは黒田みかん農園に、土壌水分や温度・湿度、圃場(ほじょう)の潅水量などを計測する最新のセンサー群を設置し、LoRaWAN(ローラワン※)やSigfox(シグフォックス※)を利用するデータ通信環境を整えた。また自動記録とAI判別ができるウェブカメラを設置、葉の状態を定点観測して、葉の状態や変化を数値化し、水ストレスの把握を行っている。さらにアプリに集められたデータを使い、黒田名人の栽培や環境、灌水データを見本とした栽培が可能な仕組みを構築した。
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アクト・ノードでは、これらのセンサーデータを「アクト・アップ」というクラウドアプリで管理する。ここではさまざまなセンサーから収集するデータだけでなく、追肥など人間の作業記録も一括で管理して自動でデータを分析する。つまり、これまで生産者が経験や勘を頼りに判断していた作業内容が、より信頼性の高い数値データとして蓄積されていくのだ。