地域が一体となって実装加速化プロジェクトを支援

トライアングルエヒメ事例1:デジタルデータの活用で「真穴みかん」の栽培モデルを拡大 AIカメラでミカンの木の葉を24時間監視したときの画像。時間単位の変化を観測する。葉の変化を数値データとして記録することで、対応や改善が早くできるようになる。右はミカン畑に設置されたセンサー

「『アクト・アップ』は、SNSと同じような仕組みで、生産者同士のコミュニケーションが図れるのも強みになっています。畑のコンディンションはそれぞれ違うので、同じ数値で水分調整をすればクローン農園ができるわけではありません。あくまでも黒田みかん農園をお手本として、情報を共有しながら技術をレベルアップしていくことになります」

そう百津代表は説明する。同地区では現在、アクト・ノードのセンサーを6カ所の農園に導入。新芽の成長が盛んになる3月中旬から本格的なデータの収集と共有が始まる。

トライアングルエヒメ事例1:デジタルデータの活用で「真穴みかん」の栽培モデルを拡大 黒田みかん農園の黒田代表。真穴地区で“名人”と呼ばれている。手にしているのは真穴でも収穫期を迎えた愛媛県特産の「甘平(かんぺい)」

黒田みかん農園の黒田伊智男代表も、栽培方法の共有に前向きな姿勢を見せる。
「これまで経験や勘に頼ってやってきた作業が、データとして数値化されることによって、自分の栽培方法の正しさが裏付けされたり、逆に新たな可能性が見つかるのではないかと期待しています。私自身、夜間の葉の状態をウェブカメラで初めて見ることができて、とても興味深かった。ノウハウを共有することによって初めて栽培技術が確立し、次のステージに進めると思うので、今回のプロジェクトをとても楽しみにしています」

今回の実装加速化プロジェクトは、地域が一体となって取り組んでいることに特徴がある。「アクト・アップ」に掲載される黒田みかん農園のデータは、JAにしうわ真穴柑橘共同選果部会で共有されるため、組合員ならば誰でも見ることができる。データの「見える化」により、若手の生産者のモチベーションも高まっている。

今後データが蓄積され、生産者同士の連携が成熟し、後継者や新規就農者にノウハウが効率的に伝わるようになれば、黒田みかん農園の名人級「真穴みかん」の生産は大きく拡大し、「愛媛全体に広めることで、柑橘系の産業が潤っていく」と、真穴共選の中井平昌共選長をはじめとした、地元の関係者も大きな期待を寄せている。

トライアングルエヒメ事例1:デジタルデータの活用で「真穴みかん」の栽培モデルを拡大真穴共選の中井共選長(写真左)を交えてのショット。地域一体でプロジェクトに取り組む
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愛媛県 企画振興部 デジタル戦略局 スマート行政推進課
Tel:089-934-7611
(TRY ANGLE EHIME事務局)
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