「iPNT-KTM」と他の屋内位置情報サービスとの大きな違いは、ビーコンなどの専用装置を一切必要としないこと。大部分の公共施設や商業ビルなどに設置されているWi-Fiの電波を利用することで、屋内位置情報の測位と表示を可能にした。
香港のテックベンチャー企業、Mapxus(マプサス)が開発した技術と、通信専門のエンジニアとして長年のキャリアを持つ野田部長の知見を融合させて生み出したサービスだ。
社長直轄プロジェクト本部
PNT推進部 野田孝仁部長
「位置情報サービスと、測位した位置を表示する地図サービスの二つで構成されており、機器の購入や設置工事が要らないので、初期設備投資はほぼゼロで済みます。ランニングコストも格安で、月額利用料は、100万人規模の方がご利用頂いても10万~20万円程度。他社の屋内位置情報サービスとは、金額が2桁ほど違います」と野田部長は語る。
しかも、「iPNT-KTM」による測位は、「誤差3メートル以内」(野田部長)と非常に高精度である。GPSによる屋外位置情報サービスの精度と遜色ないレベルだ。Mapxusの開発した技術は非常に優れており、「提携が実現しなければ、低コスト、高精度で、これほどのスピード感で測位エリアの拡大は実現できなかった」と野田部長は語る。そのコア技術の高さは世界的にも評価されており、数多くの企業がMapxusに提携を打診してきたという。激しい競争を勝ち抜き、川崎重工業はMapxusとの独占契約を交わした。
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「あらゆる屋内空間で、上記のようにWi-Fi電波を収集・分析して、測位精度誤差分布を計算し、さらに精度を改善していくことを行っています。数値の丸は、あくまで起こりえる確率的な誤差範囲を示しており、必ずこれだけの誤差が出る、ということではありません。この数値だけが出てしまうと、誤差がいつもあると思われると思います」(野田部長)
世界最先端レベルのテックベンチャー企業がタッグを組んだのは、「屋内外のあらゆる空間で、どこでもいつでも当たり前のように位置情報が利用できる社会インフラを構築して、さらに世の中を便利にしたい」という野田部長の熱意に強く共感したからだ。