社員向けサービスの導入を妨げるボトルネックとは?
「どうすれば、社員に働きがいを感じてもらえるのか」――。これは、企業にとって永遠のテーマだ。社員の働く意欲が高まれば、おのずと仕事のパフォーマンスは上がり、もっと効率を上げようと創意工夫を重ねることで生産性も向上する。「働きがい」の有無は、企業の成長力や収益力に大きく影響するのである。
コロナ禍以降、リモートワークなどが急速に普及したことで、社員が「働きやすい環境」はかなり整備されてきた。しかし、それだけで「働きがい」を実感できる社員は少ないはずだ。「会社は、自分に何を期待しているのか」「本当に自分の力を必要としているのか」と常に問い続けており、その答えを目に見える形で示してもらいたいと思っている。スキルアップや自己啓発といった「学びの機会」を提供し、「社員の成長と共に、会社も成長していきたい」というメッセージを発信することも有効だろう。
さらに言えば、社員の健康や幸福な生活などを支援することも欠かせない。「安心して元気に働ける」という前提があればこそ、人は仕事に専念できるからだ。つまり、社員に「働きがい」を感じてもらうには、「ワーク」(働き方)と「ライフ」(生き方)の両面で支えていくことが重要になる。近年、企業の大きなアジェンダとなっている「人的資本経営」を実践するためにも、ウェルビーイングに配慮した福利厚生などの社員向けサービスを充実させることが求められるようになってきた。
だが、そうした社員向けサービスの必要性は感じていても、実際には提供できていない企業が多いようだ。
次ページからは、全国の経営層、人事総務担当者、一般社員の計2009人を対象に行ったアンケート調査を読み解いていく。調査結果からは、福利厚生サービスが社員にとって重要だと理解していながら、実際には提供できていない企業の課題が浮かび上がってくる。