2022年入試注目の中堅校の一つ、カリタス女子中学高等学校(川崎市多摩区)。1日・2日午後入試の人気が急増している

2000人以上の増加が必至の情勢

 4度目となる首都圏での緊急事態宣言が解除される直前に首都圏で実施された四模試(四谷大塚、日能研、首都圏模試センター、SAPIX)の9月模試では、受験者数が前年同月比5.6%増、人数にして約2600人の増加となった。

 四模試の受験者数については、次ページの図でその推移を示した。昨年はコロナ禍で夏休みが短縮されるなど、学校も塾も混乱しており、模試会場の確保もままならない状況だった。昨年の9月模試は7月のそれより6000人以上も増加している。では同様に9月と11月を比べるとどうか。こちらは率にしてわずか0.1%、11月の受験者数が増えているにすぎない。この流れが続くとすると、9月模試の動向で翌年1~2月に実施される中学受験本番の動きはほぼつかめるということになる。

 もっともその前年、20年入試(模試の実施は19年)では9月模試は7月よりも8%弱増加したものの、11月は9月より1000人強減らしている。同様に19年入試では9月模試は7月より4%弱増加し、11月は9月より1400人強減らしている。21年入試と同様の傾向で推移するのか、あるいは19年や20年入試と同じような動きになるのかで予測値は変わる。

 四模試の日程が重なる月もある。昨年9月模試は今年同様、日能研と首都圏模試が同じ日に行われた。受験生はいずれかを選んで受験したことになる。

 それでも、今年の9月模試の総受験者数は4万9000人に迫る勢いであり、2022年中学入試は15年前に並ぶか、それを超える数の受験生が参加することになる可能性が極めて高くなっていると考えた方が良さそうだ。

 全体で5.6%増といっても、男女の伸び率の差は大きい。男子が前年比4.4%増なのに対して、女子は7%も増えている。では、このように増加している受験生は、どの学校を受験することになるのだろうか。

 四模試にはそれぞれ特徴がある。首都圏に関しては、四谷大塚が一番多く集めており、難関・上位校から中堅校あたりまでの志望者層が集まる。日能研と首都圏模試はだいたい同規模であるが、後者の方が独立系の小規模塾に通っている受験生が多いためか、中堅・中位校志望者のボリュームが大きく、さらに下位校までもカバーしている。

 9月模試では、首都圏模試が男女ともに前年より大きく受験生数を伸ばしている。男子は全体伸び率の2倍以上、女子は同6割増で2ケタ増となっている。これはつまり、中堅・中位からさらに下位の受験生が増加していることを示している。

 まずは次ページに示した四模試(7月・9月・11月)と東京・神奈川の入試初日である2月1日午前入試それぞれの受験者数の推移についてご覧いただきたい。

 7月模試のときにも触れたように、偏差値40台のEFランクの学校を目指す受験生が22年入試では増加傾向にある。では、具体的にどのような学校がそれに該当するのか、7月と9月でどのような変化が見られたかについては、今後の連載で詳しく見ていきたい。