生徒の発案で始まった泊まり込みで英語漬け生活に挑戦する「麗澤」の2泊3日キャンパス内留学。インバウンドにアンケートを取る試みも 写真提供/麗澤中学・高等学校

女子の人気は系属校と難関コース

 2020年入試で最も競争が激化しそうな入試が、青山学院大学系属校となった浦和ルーテル学院だ。特に女子の人気がすさまじく、1月10日の第1回は前年比の3倍の実倍率となりそうだ。

 埼玉には、東武東上線沿いに男子校の立教新座があるくらいで、人気私大に多く進学できるような付属・系属校はなかった。その点、浦和ルーテル学院は、立教大と並んで女子に人気が高い青山学院に多くの内部推薦枠を得られるということで、人気が爆発した。これは、同じく青山学院大に枠を持つ横浜英和でも同様である。

 前ページの表中、最も予想実倍率が高い入試は「開智(先端A)」の女子である。実に8倍超という大激戦なのだが、国立難関大を狙う理系志望の女子が押し寄せている。こうしたワンランク上のコースの入試に臨む姿勢の差として男女の違いを見せられた。

 千葉県の場合、埼玉県に比べると総じて倍率は高く、3倍前後の入試が多い。男子の成田高校付属は2.5倍予想となっている。麗澤は男女共に志願者を増やしそうで、特に女子の予想実倍率は7.3倍と突出している。AE(アドバンスト叡智)コースの人気が背景にある。

 難関・上位校では、渋谷教育学園幕張がウェブ出願を始めたこと、隣接する昭和学院秀英が12月の第一志望入試を止めて1月と2月に入試を設けたことが話題になっている。

 これは先のことだが、2022年から聖徳大学附属女子(千葉・松戸市)が共学化する。これで千葉の私立女子は市川市にある国府台女子学院と和洋国府台女子の2校だけになる。後者が2020年入試で志願者を増やしている点も注目される。

 茨城には私立の中高一貫校は少ない。その中でも、進学実勢の点で人気がある江戸川学園取手が唯一、女子のところで登場している。

 この茨城で、いま吹き荒れているのが県立高の中高一貫化ラッシュの動きだ。2008年に初めて開校した並木中等教育学校(つくば市)のあと、古河中等教育学校(古河市/母体は総和高)と併設型の日立第一ができて、しばらく動きが止まっていた。

 それが、2020年からの3年間で一挙に10校の開校となる。中等教育学校に衣替えするのは2021年の勝田だけだが、他の9校は中学を併設する。具体的には、2020年に太田第一、鉾田第一、鹿島、竜ヶ崎第一、下館第一、2021年に水戸第一と土浦第一、2022年に下妻第一、水海道第一の順である。

 この中でも本命は水戸第一と土浦第一だろう。県下のトップ校が同じ年に一貫化する。私立中高一貫校には破壊的な衝撃となりそうで、先述した江戸川学園取手も対応を迫られそうだ。