学習内容を深める「探究」を意識した学び
モデレーターを務める濱中淳子・早稲田大学教育学部教授は、大学入試センター研究開発部准教授、東京大学高大接続研究開発センター教授を経て、2019年から現職。東大では、推薦入試の調査分析も担当している。新しい学習指導要領に反映されている高大接続改革と教育現場に関する研究を重ねており、この問題にも詳しい。
おおよそ10年に一度改訂される新しい学習指導要領では、小中高共通の取り組みとして、情報化社会への対応を強調している。そのために、言語能力と並んで情報活用能力を学習の基礎となる資質・能力として位置付け、ICT(情報通信技術)を活用できる学校の環境整備と学習活動の充実に力点を置いている。
小学校では英語とプログラミング教育が2020年度から必修となり、2021年度から全面的に導入される中学校ではプログラミング教育の学習内容が倍増、英語によるコミュニケーション能力の育成にも力が入る。
2022年から年次進行で実施される高校では、「主体的・対話的で深い学び」の実現のため、授業のあり方が大きく変わる。教え方・学び方の改革により、全教科にわたって学習内容を深める「探究」を意識した学びが柱となる。具体的には、「総合的な学習の時間」を「総合的な探究の時間」と名称変更し、新科目「数理探究」「数理探究基礎」も設けられる。
本来はこうした動きに合わせて大学入試も変わるはずだった。30年間実施されてきた大学入試センター試験は2020年1月実施の試験が最後となり、2021年の入試から「大学入学共通テスト」に衣替えされる。「英語4技能」を評価するため民間試験を導入、まずは「国語・数学(のちに理科と社会も)での記述問題」も実施するはずだったが、2019年の暮れに文部科学大臣から、いずれの導入も延期と発表される事態に陥っている。
大学入試はこのように混迷しているが、新学習指導要領が示している学びの方向に変わりはない。それは、生きて働く「知識・技能」の習得、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等という「資質・能力の3つの柱」に基づくものだ。
無料公開シンポジウムの参加申し込みは、主催のNPO法人学校支援協議会で受け付けている。会場は、最寄り駅がJR中央線・総武線「御茶ノ水」などの順天堂大学講堂で、2020年1月13日13時から開場を予定している。
なお協賛は、東京女子学園、栄光ゼミナール、河合塾、日本入試センター/サピックス、ナガセ、リソー教育、早稲田アカデミーとなっている。