次に、大問3を見てみよう。

 ある学校の部活動で、2チームに分かれて駅伝を行っています。第1区間、第2区間は3km、最後の第3区間は4kmとします。下のグラフは、スタートしてから先頭のチームが第3区間の走者にたすきを渡すまでの2チームの差を表したグラフです。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、各走者はそれぞれ常に一定のペースで走るものとし、たすきの受け渡しにかかる時間は考えないものとします。

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 大問3のように単純な進行グラフ(ダイヤグラム)ではなく、駅伝の走者の位置の差を使って速さの変化を追っていかせる問題は秀逸といえるだろう。問いは次の3つ。

(1)第1区間を先にゴールした選手は毎分何mの速さで走ったか答えなさい。
(2)第2区間の途中で前を走るチームの選手を追い抜いた選手は毎分何mの速さで走ったか答えなさい。
(3)第3区間で後からタスキを受け取った選手が1kmを3分で走るペースで前を走るチームの選手を追っています。前を走るチームの第3区間の選手が抜かされずにゴールするためには最低でも毎分何m以上の速さで走ればよいですか。

解答:(1)毎分300m (2)毎分250m (3)毎分320m

 グラフの中で移動する走者の位置の差から、実際のダイヤグラムを書かせていこうという問題で、栄東の算数・数学に対する「数学を解くということは自らの手を動かして解く」という明確な意図を感じる。新しい出題傾向だ。そのために、「下のグラフを用いて考えてもよい」と、考えるための補助となる図も用意されている。

 合格するには、基本に忠実に勉強することが必要だ。個々の受験生によって、その基本は変わるのかもしれないが、最低ライン解いておいたほうがよいものは確実にものにしておくことが合否を分ける。