2度目の入試では激減した「大宮国際」(前身は市立大宮西高校)

男子減少、女子増加が顕著な首都圏3県

 東京以外の首都圏3県での公立一貫校はどのような状況にあるのか。

 県立高校王国の埼玉でも、現在、一貫校が3校ある。適性検査で英語や音楽の知識も問うなどユニークさで話題となったさいたま市立大宮国際中等教育学校は、開校初年の2019年は1000人を超える志願者を集めたものの、2020年は一挙に300人減らしている。

 JR東北本線ほか「大宮」駅からバス通学が主となる大宮国際と比べて、県立浦和高校もある「北浦和」駅から徒歩圏内の市立浦和は、募集人数が大宮国際の半分なのに志願者数はほぼ拮抗する数字を保っている。地の利も志願者数確保の重要な要因といえる。

東京と神奈川では2月3日に一斉に適性検査を行うが、埼玉では1次検査を浦和と伊奈学園が1月11日に、12日には大宮国際とした。2次検査は浦和と大宮国際が18日で、伊奈学園が25日といった具合に、県立と市立を併願できるよう検査日をずらしている。2020年はさいたま市立浦和が志願者を減らす一方で、伊奈学園は少し復調気味となっている。

 千葉でも1月中に入学者選抜を行う。2007年に県下で最初に開校した千葉市立稲毛は中等教育学校への改変も視野に入れている様子がうかがえるのだが、所在地の美浜区には今や県のトップ校となった渋谷教育学園幕張(渋幕)もある。志願倍率は男子7.0倍、女子9.3倍と高止まりしている。

 県立では、渋幕の猛威に対抗して一貫化した側面もある千葉と、県北一番の進学校である東葛飾がある。昨年12月に行われた1次検査で、千葉は男子364人(前年比▲8人)、女子358人(+53人)、東葛飾は男子449人(▲25人)、女子416人(▲37人)の受検者があった。2次検査は受検候補者が千葉344人、東葛飾348人に絞られており、渋幕入試終了後の1月25日に行われる。

 神奈川では2009年に県立の相模原と平塚の2校が中等教育学校として開校しており、卒業生の難関大合格実績もあり、進学校として一定の評価を受けている。

 ここに横浜と川崎の市立3校が加わった。難度でいえば、2012年開校の南と2017年開校の横浜サイエンスフロンティアという横浜市立の2校が高い。いずれも年々志願者数が減少傾向にある。もう1校、必ずしも進学志向ばかりではない川崎市立川崎が2014年に開校している。