「母校」を受けさせる傾向も

 学力試験一辺倒に思える中学入試だが、女子伝統校を中心に、面接や口頭試問を行う入試もある。白百合学園では、筆記試験終了後すぐに保護者同伴の面接が行われる。1日の第1回が前年比33%増の248人、2日の第2回が同29%増の369人と好調だった日本女子大附属でも、受験生が記入した自己紹介に沿う形で参考程度ではあるが短時間の面接を行っている。

 桐朋女子では、1日A入試で口頭試問が行われる。2020年のテーマは「水」だった。まず、水道水のつくられ方やシンガポールでの再生水の利用状況、人口減少に伴う将来性に関して準備室で授業が行われた。口頭試問では、再生水を普及させていくために、今後どのようなことが課題となるかが問われた。

 「ここ数年、卒業生の子どもや在校生の弟妹の受験生が増えている」(国学院大学久我山)。こうした動きは他校でも見られるようで、親が50歳前後という共通点があるようだ。それよりも若い団塊ジュニア世代の親の場合、あまり母校にこだわりを持つことがなく、むしろ実際の教育内容への関心が高いようで、いつまでこうした傾向が続くかは注目点である。

 1都3県以外でも、大学附属校を中心に中学受験熱は徐々に高まっている。

 同じ國學院大學系列の國學院大學栃木では、「この3年間で志願者数、入学予定者数がほぼ倍増した」という。栃木県と茨城県の受験者の増加もあるが、埼玉県の併願者数が大きく伸びたことが大きい。自県での入試のシミュレーション校としての評価が進んでいるというのだ。試験会場を栃木駅前の施設(國學院大學栃木学園教育センター)に設けている点もアクセスの良さで受験生を増やすことに役立っているようだ。

 前回ご紹介したように、茨城では進学志向の強い県立高の中高一貫化が進められており、中学受験ブームが訪れている。東洋大学附属牛久では、入試回数を前年までの3回から7回に増やしたところ、受験者数も116人から209人へとほぼ倍増した。とりわけ専願入試の受験生が増加したことで、合格ラインも上昇している。うち県内受験者は57人から130人と顕著に増えており、とりわけ地元である牛久が9人から28人に、竜ヶ崎第一が8人から25人へと3倍以上にもなっている。