「自走する集団」を目指した湘南白百合
同じくカトリック校である湘南白百合学園(神奈川・藤沢市)は、長時間通学の生徒のことも考えて、1学期の授業はすべてオンラインで実施した。
前年度より、全教員にクロームブックが1台ずつ配られ、Googleに関する定期的な勉強会は進めていたが、ICTの導入が全校的に進んでいたというわけではない。
新型コロナ学習対策チームが結成されたのは3月27日。そこからオンライン授業の訓練が始まる。生徒の家庭にはWi-Fi環境の確保をお願いした。時間割に合わせた課題の配布、クラスごとの朝礼の実施など、全員参加のオンライン運用が本格的に開始されたのは4月20日からである。それに合わせ、学年ごとにポータルサイトを立ち上げ、生徒の学びを支えた。
湘南白百合には、学校行事や課外活動に積極的に取り組む、活発で個性的な生徒が多い。それぞれの個性が生かせる場がすでにあり、それがコロナ禍におけるオンラインの活用によって、さらに生徒の視野や思考を広げた形となったといえる。
Google Meet を使っての朝礼の際に「中1制服デー」を実施、中3ではGoogleフォームで毎日ちょっとしたアンケートを取り、その集計結果を朝礼で発表するといった教員の工夫も見られた。
配信型オンライン授業は非常に好評だった。自由度が高く、自分で計画して勉強できるところが良いという評価だ。授業に関するアンケート結果は生徒にフィードバックしている。
ライブ型もという要望にも応えて、6月からGoogle Meet を使って授業(中3~高3)や放課後のQ&Aなどを始めている。家庭科の授業で子育て中の母親に参加してもらったり、確認テスト前の自主勉強会を開いたり。ここに来て、生徒がこの自由度の高さを生かすようになってきた。
例えば、集計が早いからとホームルーム委員選挙をオンラインで実施、3密を避けてクラスを分割しレクリエーションを行う、反転学習への取り組みも始まった。7年前から文房具や衣類などをフィリピンに送るボランティア活動でも、修道会を通じて、支援先の子どもとオンラインでつながる予定だ。
生徒広報委員会を立ち上げ、広報担当教員とコラボしながら、オープンスクールを実施、学校紹介の映像やパンフレットの政策にまで取り組んでいる。さまざまな形で「自走」し始めた生徒たちを、教員が伴走者となってサポートしている。