「医志コース」が成果を生んだ四天王寺
50位までに女子中高一貫校が4校入っている。うち東京の3校は、15位から13位になった桜蔭、37位から34位の豊島岡女子学園、62位から42位の女子学院で、いずれもランクアップしている。残る1校は今回注目の四天王寺(大阪)で、41位から16位に大きく躍進した。四天王寺の躍進の原動力となったのは、初の卒業生を出した少数精鋭の「医志コース」の存在だろう。6年間の努力の成果が実った。
現在、医師国家試験合格者の3人に1人は女性となっている。医学部を含む医療分野への女子の進学志向は高まっている。
ここでもう一つの注目校は、2022年から高校入試をやめて完全中高一貫化する豊島岡女子学園で、高入生分の定員を削減したスリムな体制となる。東京女子御三家、中でも桜蔭との併願が多い学校だが、2月1日入試に参入してくるかに関心が集まっている。
今回大きくランクアップした学校についても触れておこう。86位から18位になった清風南海(大阪)、51位から21位となった広島大学附属福山(広島)、58位から26位になった明治学園(福岡)、49位から29位の栄光学園(神奈川)、155位から47位のAICJ(広島)、220位から47位の岩田(大分)といった学校だ。国立の広島大学附属福山を除けば、いずれも私立である。
では、公立校はどうか。20位に札幌南(北海道)、24位に仙台第二(宮城)、28位に新潟(新潟)がある。ここでの注目校は、115位から32位に大きく伸びた日比谷(東京)だろう。最近の模試の結果を見ると、2021年入試で日比谷は東大合格実績をさらに伸ばしそうな状況にあるようだが、医学部についてもランクアップする勢いだ。
最後に、この合格力とは直接関係はないのだが、私立大医学部の動向についても触れておきたい。新型コロナ禍で、どこの病院も経営が厳しい。大学付属病院もその例に漏れない。中でも賃金抑制の意向を示して反発があった東京女子医大などは、厳しい経営環境に置かれている。
一般に、私立大の場合は学費の額と偏差値は反比例する。学費が安くなれば偏差値は上がるもので、順天堂大や昭和大、帝京大や東海大、そして日本医科大が、学費を下げることでこれまで人気を集めていった。
とはいえ、2020年に昭和大が値上げに踏み切り、2021年には東京女子医大が大幅な値上げを予定するなど、逆風が吹き始めていることも確かだ。
地域枠に加え、私立大でも学校推薦枠を増やす動きが出てきた。早稲田大学高等学院中学校は、10月の学校説明会で、日本医科大から2名の学校推薦枠を2022年から受ける旨を大事なおしらせとして明らかにした。慶應義塾にあって早稲田にないもの、それは医学部であり薬学部である。内部進学率99.4%の早稲田大学高等学院にとってこの2枠は大きい。
日本医科大は2022年度入学者選抜における変更について、このように“予告”している。126名の募集定員は変わらないが、一般選抜からの4名と総合型選抜の2名を合わせた6名を転じて、新たに学校推薦型選抜6名を設けるというのだ。そこに早稲田大学高等学院の2枠も含まれている。