実倍率3倍がメルクマールに
男子のBランク(偏差値64~60)では、海城が微増の動きとなっている。Aランクの受験を諦めた層の受け皿となっているのかもしれない。神奈川のサレジオ学院はすでに前年実績を確保し400人を突破、1割以上は出願者を増やす勢いである。実倍率2.0倍に対して、予想倍率は2.3倍となっている。
早稲田は3.3倍という高い実倍率が敬遠されたようで、模試の志願者動向では2割以上の大幅減を示していたものの、現状では1割減程度で収まった。早稲田高等学院の実倍率は数年前まで2倍少しだったものが、2020年は3.1倍と高かった。予想倍率は2.8倍だったが、3%減にとどまった。少しだけ受けやすくなるだろう。慶應義塾普通部は良く持ちこたえて5%減で出願を打ち切った。実倍率は3倍強のままとなりそうだ。
このように、3倍という実倍率は志願者の増減を左右する一つの指標となる。受験生からすれば、周りの賢そうなライバルを見渡して、3人に1人では合格する実感を持ちづらい。そういう入試はどうしても敬遠気味になる。
2021年は難度が上がり過ぎた午後入試の大幅出願減が見込まれている。その象徴となるのが算数1科で行われて人気となった1日午後の巣鴨と世田谷学園で、出願者はいずれも現時点で2割前後の減少が見込まれる。特に、実倍率2.0倍だった世田谷学園のこの入試は、予想倍率が1.3倍と緩和し、1日午後最大の穴場といっていい受けやすさになりそうだ。ちなみに、巣鴨は3.0倍が予想2.6倍、鎌倉学園は2.4倍が予想1.5倍となっている。
1日午後が1回目の入試となる東京農業大学第一は、実倍率2.2倍が好感されたのか、早々に前年実績を超え、大幅に出願者を増やしている。予想倍率は2.9倍である。2日午後の2回も4日の3回も、男子はいずれも大幅増の勢いだ。
2月2日には神奈川のAランク3校が並ぶ。聖光学院は出願締め切りに向け積み増していくので確定的なことはいえないが、予想では1割弱の減少、出願動向からは1割強の減少と見込まれる。出願を締め切った栄光学園は、3日入試の浅野と共に前年比2%減にとどめた。慶應義塾湘南藤沢は締め切ったものの、出願者数は非公表である。
実倍率2.3倍の明治大学付属明治は、予想では2.0倍だったが、最新動向では微増の勢いに転じている。2日には城北、攻玉社、世田谷学園の2回目入試が並んでいる。いずれも実倍率が2.0倍、2.1倍、2.3倍と低く、2021年も出願増の気配はないため、最難関校の併願先として狙い目である。