付属校でも主流は内部昇格
大学の付属校であっても、一般の私立中高一貫校同様、内部昇格の方が実際は多い。
日本女子大学附属(川崎市多摩区)は中学と高校、それぞれに校長がいる。同大OG(文学部国文学科卒)で教頭の椎野秀子氏が中学校の校長に昇格した。この付属中高に隣接する西生田キャンパスにあった人間社会学部はこの春、東京・豊島区にある目白キャンパスに移転している。2021年は大学の創立120周年となる節目の年であり、同大4学部が校舎の建て替えが続く創立の地に統合された。目白キャンパスとは目白通りを挟んだ向かい側に、共学の附属豊明小学校と附属豊明幼稚園がある。附属中高の目白への移転も、今後俎上(そじょう)に載るかもしれない。
共学校では、専修大学松戸(千葉・松戸市)も教頭の五味光氏が昇格している。他大学に進む生徒も多い半付属校的な進学校なのだが、オンライン英会話の導入などによる英語力強化に努めてきた英語科出身の五味氏の就任で、国際化教育が引き続き推進されることになるだろう。
同じく共学校である東京電機大学(東京・小金井市)では、6年間校長を務めた大久保靖氏の後任に、教頭の平川吉治氏が昇格した。系列の大学は神田(千代田区)から北千住(足立区)に移ったが、付属の中高は一足早い1992年に、小石川(文京区)から現在地に移転している。理系女子の人気も高く、2021年入試は好調だった。
芝浦工業大学附属(東京・江東区)は、首都圏で一番男子受験者数が多い共学校である。新校長に就いた佐藤元哉氏も教頭からの昇格となる。板橋時代の芝浦工業大学高校卒業生というOBでもある。英語科教員として26年間、芝浦工業大学柏中学高等学校に勤務、その間、同校の高校共学化や中学併設化にも携わった。芝浦工業大学附属に移ってからは、教頭補佐や進路部長として渉外・広報業務でも経験を積んでいる。2021年から中学も完全共学化したことを受け、芝浦工業大学附属でもこれまでの経験を広く生かしていくことになりそうだ。
タワーマンションが立ち並ぶ武蔵小杉にある法政大学第二(川崎市中原区)は副校長の五十嵐聡氏が新校長に就任した。同校は5年前から女子生徒も受け入れた元男子校で、募集定員は今でも男女比がおおむね2:1となっている。今回の校長交代は、前校長の北詰昌敬氏が、教員生活の最後は現場にと願い、高1担当になることをきっかけに学内で選挙を行い、立候補した五十嵐氏が新校長に選ばれた。
管理職は昇格というより役割の一つといった印象である。武蔵(東京・練馬区)もそうだったように、同様の民主的な選挙で校長を選ぶ学校がかつてはよく見られた。桐朋もそうした数少ない学校の一つである。桐朋学園は東京・国立市にある男子部(小中高)と東京・調布市にある女子部(幼稚園~短大)に分かれるが、今回、長らく男子部の校長だった片岡哲郎氏に代わり、原口大助氏がやはり教職員会議で選出されて新校長に就任する。