ミッションスクールならではの事情
青山学院は社会科教員の上野亮(とおる)氏が中等部部長(校長)に就いた。大学と学校法人を同じくする付属校は青山キャンパス(東京・渋谷区)にある青山学院のみだが、近隣県に推薦入学枠を与える系属校を設けて、少子化時代の学生確保に布石を打ってきた。
神奈川では2014年に横浜英和女学院が系属校となり、2018年に共学化、青山学院横浜英和(横浜市南区)と改称している。埼玉では、移転によりJR京浜東北線の北浦和から埼玉高速鉄道の浦和美園に最寄り駅が変わった浦和ルーテル学院(さいたま市緑区)が2018年に系属校協定を締結した。校名に青山学院系属を冠して2020年から大学への推薦入学受け入れが始まり、人気が沸騰している。
他にも、宗派のつながりで横須賀学院(神奈川・横須賀市)と静岡英和女学院(静岡市葵区)とは教育提携協定を締結し、一定の推薦枠を用意している。青山学院の付属・系属校は一段落ついた印象である。
横浜山手に設立された横浜パプテスト神学校が源流となる、同じくプロテスタント系の関東学院(横浜市南区)では、森田祐二氏が新校長となった。前任の名古屋学院(名古屋市)校長として、地元の塾業界でも人気があり、進学実績も上げている。
こうした点も評価されたと思われるが、もう1点、これはICU(国際基督教大学)でも標榜しているように、常勤の教員(教授、准教授、常勤講師)は信仰を持つキリスト者でなければならないというクリスチャンコード(Cコード)も影響している。誰しも関東学院の校長になることができるというわけではないのだ。
その点では、現役の牧師が校長に就任した聖学院(東京・北区)が際立っている。隣り合わせで女子聖学院があるプロテスタント系の中高一貫男子校だが、13代目となる新校長に伊藤大輔氏が就任した。同校のOBで、東京神学大学大学院博士課程前期修了後、南国教会(高知)、銀座教会(東京)に赴任、そして現在は日本基督教団本多記念教会(渋谷区代官山町)で牧師を務めている。本多記念教会は、青山学院大学初代日本人院長の本多庸一氏を記念して創立されている。本校は教員にもキリスト教信者が多く、校長は代々、牧師が務めている。
カトリック校ではどうだろうか。湘南白百合学園(神奈川・藤沢市)では、前校長の谷口貞女(さだめ)氏の後を継いで、教頭、副校長を務めてきた林和(かずこ)氏が昇格している。前任の谷口氏は八代白百合入学後から教会に通い始め、聖心女子大学と上智大学神学部を卒業後、白百合学園(東京・千代田区)から仙台、湘南、八代の各姉妹校でも教鞭をとり、八代白百合学園の校長や東京のシャルトル聖パウロ修道女会の修練院長などを歴任してきた修道女(スール)だった。その点、英語科教員だった林新校長はスールではない初めての校長となる。創立85周年を迎え、今後進学校としてどのようなかじ取りをしていくのかが注目される。
同じくカトリック校で、2020年の入学生から共学化した聖ヨゼフ学園(横浜市鶴見区)では26年間在籍して還暦を迎えた前校長の清水勝幸氏に代わって、清水氏と同期であるものの10歳若い多田信哉氏が新校長に就いている。
函館ラ・サール(北海道・函館市)では修道士(ブラザー)であるフェルミン・マルチネス氏が校長を務めてきたが、現在は、理事長でもある同じくブラザーのロドリゴ・テレビニヨ氏が校長も兼ねるようになっている。
2つ目の小見出し下:青山学院は上野亮(とおる)氏が中等部部長(校長)に就いた。教頭からの内部昇格である。→青山学院は社会科教員の上野亮(とおる)氏が中等部部長(校長)に就いた。
(2021年4月21日9:55 ダイヤモンド社教育情報)