問われるのは「国際教育」の構想力

 コロナ禍で海外研修に参加できなくなった高校生向けに、8月末に企画されたプログラム「英語体験合宿in Tokyo」もユニークな企画だった。村上春樹氏の小説の舞台ともなった学生寮を利用して、泊まりがけで実施した。

「パンデミック中に日本は移民を受け入れるべきか」に関するディベートを、日本に滞在している移民政策に詳しい3人の研究者(出身国はネパール、ジョージア、アメリカ)をファシリテーターとし、7人のアジア人留学生がメンターとなって参加者28人をサポート、演劇的なゲームで緊張をほぐすため役者も1人加わっている。

 以前ご紹介したものでは、東京男子御三家の武蔵が実施している「REDプログラム」なども、国内で充実した時間が過ごせる国際教育プログラムの一つである。

 アンケートの中でも、「国際教育を国内で進めていくためのヒントにコロナ禍で気付くことができた」といったコメントが多く寄せられている。準備のため手間も時間もかかるものだが、きちんと保護者に説明し、生徒を巻き込んでいけるか。そうした観点で「国際教育」を見ることも、偏差値だけでは分からない学校選びの際には大切である。

 この連載と連動する形で、「本当に子どもの力を伸ばす学校」(ダイヤモンド・セレクト2021年8月号)が7月8日に発売予定となっている。ぜひ今年もお手に取っていただければ幸いである。