“下克上”が起きにくい埼玉と千葉
埼玉では、グループ化した学校の力が強い。戦後、自動車整備技術学校を皮切りに、小中高から大学まで、創立者である佐藤栄太郎氏が次々に開校していった学校法人佐藤栄(さとえ)学園の2校がランクインしている。
1位栄東は先述したが、5位埼玉栄(さいたま市西区)は1972年に高校が開校しており、佐藤栄学園の中等教育を担う原点のような存在である。
2位の開智(さいたま市岩槻区)は学習塾経営から転じて、いまでは埼玉(開智未来)はもとより、茨城(開智望)や東京(開智日本橋学園)にもグループ校を擁している開智学園の基幹校である。埼玉県西部の東所沢に24年にも新たに小中高一貫校を開校予定である。
3位大宮開成(さいたま市大宮区)は、市立大宮国際中等教育学校の登場で中学受験ブームが起きている大宮・浦和エリアということもあり、年々志願者が増加していた。入試日にはJR大宮駅と学校を結ぶ直行バスが絶え間なく走り、その勢いを実感できる。
4位には星野学園(川越市)が入った。人気校がさいたま市に偏る中、県西部にある共学校としてランクインした。川越から所沢にかけては、今後、中学受験熱がどこまで高まるかだが、21年には男子校の城北埼玉や城西川越(いずれも川越市)なども人気が高まっており、開智の新規開校と併せて注目される。
千葉の場合、入試解禁日である1月20日の市川(市川市)、21日の東邦大学付属東邦(習志野市)、22日の渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区)と、“千葉私立御三家”の一般入試日程が重ならず、いずれも併願可能というところが他地域には見られない特徴といえる。そのためもあるのか、市川を除けば実倍率が3倍超で、埼玉と比べて厳しい入試が多い。
ここ3年間、1位は東邦大東邦で、2位は幕張メッセ会場が恒例となっている市川となる。例年のように市川は21年も幕張メッセで入試を行った。そこから徒歩圏という地の利を生かして、同日午後に最初の入試を行う昭和学院秀英(千葉市美浜区)は4位に食い込んでいる。同校は21年に初めてオンライン入試を実施するなど、果敢に新しい取り組みをすることでも知られている。