「見えない学力」は、発見や驚き、感動を共有する体験を入り口に、幅広い教養と人間力を育む。象徴的なのが、日本各地で体験を積む「アース・プロジェクト」だ。富士山周辺を探索する「チャレンジキャンプ」、房総半島での「海のフィールドワーク」、屋久島や種子島で本物に触れる「アース・ツアー」など日本各地でさまざまな経験を積み、将来の夢や目標を抱くきっかけをつくる。日本版「ナショナル ジオグラフィック」を教材に、地球規模のテーマを議論、発表する「ナショジオ学習」も実践。同校教員だけでなく、研究者や大学教授、企業人が講師として担当する、約30の専門講座を受講できる「アカデミックツアー」も好評だ。
絶えず挑戦したくなる
面白い学校をつくる
こうした多様な「学力」の滋養が、国公立や海外の大学への進学増加の一因になっている、と福田校長は見る。「進路指導の仕方も変わってきています。模試などの点数や成績で志望大学を指導するだけではなく、生徒の視野が広がる体験を重ねながら将来の姿をクリアにさせ、そこにたどり着くための多様な生き方を考えさせるようにしています。面白い学校というのは、生徒が『次はこれを』と絶えず挑戦し続けたくなるものを用意できる場だと思います。好奇心や熱中が生まれる環境や仕掛けを学校の内外に設けたい。好奇心のある子は、どんな時代でも何かを見つけられます」と語る福田校長。100年近くたっても変わらない、面倒見の良さが、そこかしこに今も生きている。
