自由と規律のバランスの中で成長
濃密な絆が育まれる6年間

 グローバル化が進み、価値観が多様化する現代社会において、海城をより良い学校へと発展させていくことが使命だと語る大迫校長。ただ、改革だけでなく、海城に脈々と受け継がれてきた伝統も尊重している。

 大迫校長が特に大切にしたいと感じているのが、中高6年間で育まれる、友人、先輩、後輩との絆だ。24年には、大学生や専門学校生が多く出場する全日本学生室内飛行ロボットコンテスト「マルチコプター部門」に物理部が出場し、自作のドローンを操縦して3位に輝いた。その際には高2生が中1生の3人をサポートメンバーとして会場に連れて行った。

「先輩の姿を見て、中1の生徒はいずれ自分も自作のドローンで出場したいと思うでしょう。先輩から後輩へ、自然とバトンを受け継いでいく伝統があります」

全日本学生室内飛行ロボットコンテスト「マルチコプター部門」で3位に輝いた同校物理部のメンバー。サポートメンバーには中1生の3人を選んで大会を経験させた

 だからこそ卒業した後も、縦にも横にも関係が強く、同窓会である「海原会」(徳光和夫会長)には海城を愛するOBが集う。20歳を祝う「20歳の集い」には、卒業後2年が経ったOBの90%以上が出席するという。「中高6年間の濃密な人間関係の中だからこそ、生涯の友を見つけられるのです」と大迫校長。

 130年超の歴史の中、海城がこれまで育成し、世に送り出してきたのは「新しい紳士」だ。「フェアな精神」で物事を判断し、「思いやりの心」で人に接する。「民主主義を守る意思」を強く持ち、「明確に意思を伝える能力」にあふれている。――そんな人材を育てるためにも、大迫校長が海城の自由として生徒たちに伝えているのが「秩序的自由」だ。

「心、行動、選択が自由であることはとても重要です。ただ、やりたい放題の放任的自由では、生徒がしっかり成長できなくなる可能性があります。だからこそわれわれは、自由と規律のバランスを大切にしています」

 大迫校長はその思いを、24年2学期の終業式に朗読した『海城の自由』と題した詩に込めた。海城でしかできない学びを経験し、成長していく生徒たちに、大迫校長は『海城の自由』でこうエールを送る(抜粋)。

 君たちの学び舎は/君たちの自由を支える/君たちののびやかな帆に/私たちは力を貸そう
(『海城の自由』全文は下記問い合わせ先参照)

●問い合わせ先
海城中学高等学校
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-6-1
TEL:03-3209-5880
URL:https://www.kaijo.ed.jp/
■『海城の自由』全文
https://www.kaijo.ed.jp/poems/35829