校地は日本で一番地価の高い住宅地にあり、道向かいにはテニスコートも保有、武蔵野大学附属千代田高等学院のソフトテニス部は全国大会出場の強豪でもある

保護者と一緒に作り上げていく“新しい教育”

――現在は新入生のみですが、3年後には既存の千代田高等学院に接続するのですか。

日野田 その点は保護者の方からもご心配いただきました。いま同じ校地にある武蔵野大学附属千代田高等学院には“附属”とついているように、武蔵野大学への進学がありますが、できる子は別途育てていこうと考えています。こちらの千代田国際は、全く違うコンセプトですので、基本的に今後は高校もつくっていきます。

――千代田国際で一番共感を呼んだ教育内容は何だったのでしょう。かえつ有明だと、こんな面白い授業をやっています、とかになるのでしょうが。

日野田 学校説明会では、「うちの学校はつぶれかけた」とはっきり言ってから、「僕らも困っていますが、方向性は見え始めていますから、保護者の方も一緒にやっていきましょう」と呼び掛けていました。戦後の焼け野原と一緒ですから。施設も古いですが、きれいな花より雑草の方が生き残れるからと言っています(笑)。

 日本人としての最低限の守破離をつけてもらう。文武両道とか、ルールを守るとか、人に対してリスペクトするとかは当たり前やと。いかに社会を変えるインパクトを出せるかとか、貢献であるとか、それを困りながらも、みんなで一緒につくっていこう、と言って。

――PBL(問題解決型学習)を全面的に導入するようですが。

日野田 PBLもそうなのですが、「こんないい授業しますよ」とは一言も言っていません。最初は大混乱になると思っています。「1期生はぐちゃぐちゃになるよ、それこそが一番の学びになる」と言いましたら、保護者の皆さんから反応がありました。カオスこそ学ぶことがいっぱいあるじゃないですか。

――これ自体がプロジェクトであると。お母さんは心配してしまうかもしれない。

日野田 そうです。先ほど、お父さんの比率が高いと言いましたが、こういう状況ですとお母さんは心配してしまい、途中からお父さんに交代するので、最後の方の説明会はもう、おっさんしかおらんようになって、「お母さんいないの?」と(笑)。

――このエリアには男子校が暁星くらいしかないので、こうした共学校の需要があるかもしれない。しかし、女子校はたくさんあるわけで、こういうベンチャー的な学校に女子が入ってくるのはなぜなのでしょう。

日野田 やっていて分かってきたのは、男気のある女の子が来るようです。ニコニコ笑っていても、中身はオオカミみたいな(笑)。

――だいたいそんな感じですね。先生は、以前の大阪の高校でもそういうタイプはご覧になっているかもしれない。

日野田 なので、ちょっとドキドキ、ワクワクしています。新入生の顔ぶれを見ていて、いい意味でやんちゃな子がいそうだ、と思いました。昔のハムのCMで、わんぱくでもいい、みたいな感じの。

 ちょうどいま、中学校再建会議というのをやっています。そのため、保護者会とも連携し、一緒につくりあげていければと考えています。学校に要望するだけでなく、お父さんやお母さん方にも、主人公として一緒にやることで、半分責任を持ってもらおうと思っています。

――学校が始まったら、親御さんも普通の学校とは違うことに気付いていくのでしょう。午前と午後に分けて、午後はPBLですか。

日野田  その通りの時間割が組めるかどうかはまだ分かりませんが、基本的にはそのようにします。土曜日はリベラルアーツの体験プログラムとして、上野の美術館とかソフトは外部に求めるようにして行きたいなと考えています。

 千代田国際中学では、部活動は行わず、アクティビティにしようと考えています。そうすることで各分野の一流の指導者も呼べますし。

――教員が部活の顧問も務めるようなあり方をこの中学校では改めるわけですね。

既存の校舎内に新しい設備も整備されている。1:全面ホワイトボードの教室ARC(アカデミックリソースセンター) 2:生徒同士が楽しくコミュニケーションの取れるカフェスペース 3:会議にも使える広い視聴覚室 写真提供:武蔵野大学附属千代田高等学院
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