優れたOJT担当者の
指導行動には共通項がある

 現場に委ねられたOJTは、ブラックボックス化します。私のように、“たまたま”優れた指導者に当たればいいのですが、当然ながら外れも多く、若手が期待通りに成長するかどうか、結果は予測不能です。

 そんな運任せで運用されてきた結果として、OJTが機能しない、崩壊した、と言われるようになりました。それではOJTの指導行動を科学的に分析し、「見える化」することはできないものか。それがDLL開発の出発点でした。

 ビジネスマンの熟達化を研究する神戸大学大学院経営学研究科の松尾睦教授(当時は小樽商科大学教授)とともに、調査を開始したのは3年前のことです。

 まず、指導上手なOJTトレーナーを探してインタビューを重ね、また自由記述調査をしました。そのプレ調査の結果から176項目の指導行動を抽出し、何が若手人材の成長に影響を持つのか、調査紙による本調査を実施。22社の協力で、1410名の回答を得、それを精緻に分析しました。

 その結果、若手がより成長するための指導行動が浮き彫りになりました。DLLはそれを元に作成された診断ツールで、OJTトレーナーとしての長所と短所を把握し、指導行動を改善するために活用していただくものです。

 松尾教授と私どもとの共同調査の結果、すぐれた指導行動として9つの観点から、38の成功セオリーを抽出することができました。そして、1年目の社員と、2年目から5年目までの若手とでは、「OJT実施上の留意点」が少し異なることもわかりました。