7月26日の日本銀行政策決定会合の緩和策は、ETF(上場投資信託)買い入れ額の3.3兆円から6兆円への増額が主で、当初は失望感が広がった。黒田日銀はもうバズーカを放つことはできないのではないかという疑念が外国人投資家を中心として広がった。それは一時1ドル=100円を下回るところまで円高が進んだことに表れている。
しかし、円高が進んでも日本株は下落しなかった。日銀が8月2日と10日にそれぞれ707億円のETF買い入れを行い、それまでの1日当たり350億円程度の買い入れ額から倍増させたことが明らかになると、株式市場は円高進行よりも日銀の買い入れ額“倍増”を重く見た。日経平均株価は1万6919円まで上昇した。
通常、円高は日本企業の収益に直接影響するので、ドル円レートの変化に対して株価は敏感に反応する。しかし、今回は「円高=株安」とならない要因が幾つかある。