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日銀は追加緩和に動けない、動くべきでもない

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第395回】 2015年9月22日
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追加緩和への期待は高いが
日銀はやりたくないのが本音

10月にも日銀の追加緩和があると予測する向きは多いが…

 足元の世界の経済情勢を見ると、景気下支えの鍵を握っているのは主要国の金融緩和策だ。景気を回復させるために、思い切った緩和策が必要だった。それは、今でもあまり変わっていない。

 米国FRBは9月での利上げを見送ったが、方向性としてはとりあえず金融政策の正常化に向かっている。一方で、わが国やユーロ圏、さらには中国が一段の金融緩和に向かう可能性がある。特に、わが国の追加金融緩和策に対する期待はかなり高い。

 その背景には、一時、アベノミクスで円安・株高が進み景況感の改善が見られたものの、中国経済の減速懸念や株価下落に伴い、ここへ来て円安・株高傾向に一服感が出ていることがある。 

 そうした状況を放置しておくと、一時改善の兆しが見えた景況感に再び暗雲が出てくることも考えられる。また、何よりも、日銀が強気に目指している2016年前半に消費者物価指数プラス2%を達成することが困難になる。

 市場関係者の中には、「黒田総裁は、どこかで追加緩和策を打つはず」との見方がある。そうした追加緩和策に対する期待は、国内投資家よりもむしろ海外投資家の方が強かった。

 しかし、日銀は、9月の金融政策決定会合でも追加緩和には動かなかった。恐らく、日銀の本音とすれば、「追加緩和策実施に追い込まれることは避けたい」と考えているだろう。

 日銀は既に多くのカードを切っていることもあり、インパクトのある緩和策の具体的な手段が残り少ない。それに加えて、追加金融緩和策の効果が次第に低下する可能性が高い。

 思い切った金融政策でも、その効果は永久に続くものではない。むしろ、金融市場が政策発動に慣れ始めると、そのインパクトは次第に小さくなる。

 そうした状況を考えると、米国の金融政策との兼ね合いもあるが、よほど危機的な状況に落ち込むことがなければ、日銀は当面、状況をじっくり注視するはずだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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