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やり抜く力
【第7回】 2016年10月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
アンジェラ・ダックワース,神崎朗子

子どもの「グリット」がみるみる上がる4大家庭ルール
人生の成功に最も重要な「やり抜く力」を強くする秘訣

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世界の心理学者が長年追求してきた「人生で成功するのに最も重要なファクターは何か?」がついに研究で解明された!ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手……成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく、もうひとつの能力「グリット」(やり抜く力)だった――。これまでの能力観・教育観を180度くつがえし、世界的ベストセラーとなっている『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、その驚くべき内容を紹介する。

「難しいこと」を続けると、貪欲に取り組めるようになる

 短期的な実験においては、「大変なことに取り組むことで、ほかの大変なことにも取り組めるようになる」ことが、すでに証明されている。

 ヒューストン大学の心理学者、ロバート・アイゼンバーガーは、この分野の第一人者だ。彼は数十例の研究において、ラットを無作為にふたつのグループに分け、片方のグループには大変なこと(レバーを20回押したらエサを1個与えるなど)をさせ、もう片方のグループには簡単なこと(レバーを2回押したらエサを1個与えるなど)をさせた。

 つぎに、すべてのラットに別の難しい課題をやらせた。すると、このような実験を何度繰り返しても同じ結果が出た。簡単にエサをもらえたラットたちにくらべて、同じエサをもらうのに何倍も苦労したラットたちのほうがつぎの課題にも元気よく粘り強く取り組んだのだ。

 アイゼンバーガーの実験で私が気に入っているのは、なかなか独創的な実験だ。

 彼は実験用ラットのエサやりには、(1)「エサを金網つきの容器に入れ、金網のすき間からエサをかじらせる方法」と、(2)「ただケージの床にばらまく方法」のふたつの方法があることに気づいた。

 同じように大変な課題を与えても、ふだんから手間のかかる(1)の方法でエサを与えられているラットたちのほうが、我慢強く取り組むのではないか、とアイゼンバーガーは考えた。そして実験を行ってみると、結果はまさにそのとおりだった。

 まず、すべての若いラットに、幅の狭い板の上を通っていくとエサがもらえることを覚えさせた。つぎに、ラットたちをふたつのグループに分けた。半分のラットは金網つきのエサ入れのあるケージに入れ、すき間からエサをかじらせ、もう半分のラットにはケージの床にエサをばらまいた。

 1ヵ月後、すべてのラットに、空腹な状態で幅の狭い板の上をとおってエサを取りに行かせたところ、金網のすき間からエサをかじっていたラットたちのほうが、ケージの床にまかれたエサを食べていていたラットたちよりも、貪欲にエサを食べに行った。

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アンジェラ・ダックワース [Angela Duckworth, Ph.D.]

ペンシルベニア大学心理学部教授。近年、アメリカの教育界で重要視されている「グリット」(やり抜く力)研究の第一人者。2013年、マッカーサー賞(別名「天才賞」)受賞。教育界、ビジネス界、スポーツ界のみならず、ホワイトハウス、世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、米国陸軍士官学校など、幅広い分野のリーダーたちから「やり抜く力」を伸ばすためのアドバイスを求められ、助言や講演を行っている。
ハーバード大学(神経生物学専攻)を優秀な成績で卒業後、マッキンゼーの経営コンサルタント職を経て、公立中学校の数学の教員となる。その後、心理科学の知見によって子どもたちのしなやかな成長を手助けすることを志し、オックスフォード大学で修士号(神経科学)、ペンシルベニア大学大学院で博士号(心理学)を取得し、心理学者となる。子どもの性格形成に関する科学と実践の発展を使命とするNPO「性格研究所」の創設者・科学部長でもある。
ダックワース教授の研究は、多数の学術専門誌のほか、「ニューヨーク・タイムズ」「フォーブス」「タイム」をはじめ一般紙誌でも広く採り上げられている。長年の研究成果をまとめた本書は、2016年5月の刊行直後から「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラー上位にランクイン。たちまち異例のベストセラーとなり、「CBSニュース」をはじめテレビ等で大きく報じられた。TED トーク「成功のカギは、やり抜く力」の視聴回数は900万回を超える。夫とふたりの10代の娘とともにペンシルベニア州フィラデルフィア市に在住。

神崎朗子 [かんざき・あきこ]

翻訳家。上智大学文学部英文学科卒業。おもな訳書に『スタンフォードの自分を変える教室』『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』『フランス人は10着しか服を持たない』『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』(以上、大和書房)などがある。
 


やり抜く力

「人が人生で成功するのに最も重要なファクターは何か?」がついに解明された! ビジネスリーダー、エリート学者、 オリンピック選手……成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく、第3の能力「グリット(やり抜く力)」だった――。これまでの能力観・教育観を180度くつがえし、世界的ベストセラーとなっている『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、その驚くべき内容を紹介する。

 

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