ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
一流の睡眠
【第11回】 2016年8月31日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

時差ボケを解消する方法はコレだ!

本連載では、医師×MBA×経営者のトリプルホルダーで、ビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、発売まもなく増刷を重ねる大好評の新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えます。

第11回は、時差ボケとの「正しい戦い方」を明かします。 

ニューヨークの夜は、日本の昼

 

 海外出張が多いビジネスパーソンを困らせるのが「時差ボケ」です。せっかく、海外のクライアント向けに入念に資料を準備しても、当の本人が時差ボケでベストパフォーマンスが出せないのは、非常にもったいないことです。

 ビジネスは「瞬間」が勝負。あなたの時差ボケが解消するまで、先方は待ってくれません。海外でのパフォーマンスが求められる以上、必ず時差ボケと戦わなければならないのです。

 たとえば、9月1日の昼12時に日本から米国のニューヨークまで出張するケースを考えましょう。時差は14時間、フライトは約13時間ほどです。

 13時間のフライト後、ニューヨークに着くのは現地時間9月1日の午前11時。これを日本時間に直すと9月2日の午前1時です。日本にいれば、ぐっすりと眠っている時間帯です。しかし、ニューヨークでは摩天楼に日差しが照りつけるお昼前。体と頭は眠いのに、現地では仕事時間のど真ん中です。

アメリカ方面は「早寝早起き」
ヨーロッパ方面は「遅寝遅起き」

 時差ボケは、医学的には「時差障害」と呼びます。
 国際的な診断基準は次の3項目です。

 -----
(1)ジェット機に乗って、少なくとも3時間以上の時差がある場所へ旅行した時に、不眠や過眠を自覚する

(2)旅行後1~2日以内に、昼間の心身の機能が落ちたり、全身がだるくなったり、胃腸障害などの身体症状が出る

(3)その睡眠障害は、他の睡眠障害や内科・精神科的な病気、薬物の使用などでは上手く説明できない
 -----

 また、一般的には、時差ボケは次のように説明されます。

 -----
●症状として、日中の眠気、疲れ、だるさ、不眠、頭が重い感じなどがある
●3時間以上の時差がある国や地域に旅行する時に起こりやすい
●西よりも東へ飛行した場合に症状が強くなる

 -----

 日本から東方面、たとえばニューヨークに移動したばかりの人の生体リズムは、日本での生活の延長線上にありますから、日中は日本で起こっているように深部体温が低下し、暗いところではメラトニンが分泌され、睡眠へと体が動きます。心拍数や血圧も低下して、脳・身体機能も眠る準備に入っていきます。

 一方で、ニューヨーク時間の夜に睡眠をとる時は、日本では昼にあたりますから、生体リズムの影響で深部体温は上昇し、メラトニンも分泌されず、体は活動状態に入ります。これが時差ボケの時に人の体の中で起こっているメカニズムです。

 対策としては、旅行前の睡眠が不足していると、時差症状による睡眠障害がより強く出現する場合が多いので、まずは海外に旅行する前に、十分に睡眠を確保しておくことが大切です。

 また、アメリカなど東方面へ向かう場合は、数日前から少しずつ早く床につき早起きをするようにして、体を現地の時間にゆっくりと慣らしていきます。逆に、ヨーロッパなど西へ向かう場合は、遅く寝て遅く起きるようにして準備するのです。

短期出張なら「日本時間」を死守せよ

 滞在期間が2~3日の短期出張の場合は、現地時間に無理にあわせずに、日本時間の夜間にあたる時間帯にまとまった睡眠をとるようにして、日本のリズムを保った方が楽な場合が多いと言われています。

 日中に現地に到着して、どうしても眠いときには、2~3時間ほど仮眠をとるのも効果的でしょう。その際にあまり長く眠ると、夜の睡眠に悪影響が出ます(なお、仮眠の科学的な効用と具体的な実践方法については、拙著『一流の睡眠』で詳しくご紹介しています)。

 起きるべき時間になったら、眠くてもがんばって目を覚ましましょう。仮眠から起きたら外に出て、太陽の光を浴びると、現地時間対する体内時計の調整が進みます。

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳

定価(税込):本体1,600円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
子どもの豊かな心を育て、頭と体を伸ばしていくために親が知っておきたいことについて、最新の科学研究をもとに「最も信頼」できて「最も実行しやすい」アドバイスだけを厳選して詰め込んだ貴重な本。子にかけるべき言葉、睡眠、トイレトレーニング、遊び、しつけまで、これ一冊さえ持っていれば大丈夫という決定版の1冊!

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


一流の睡眠

「8時間睡眠」「規則正しい生活」など、睡眠の常識はビジネスの現実とズレている! 寝不足、不規則生活、疲れがとれない、飲み会続き……など、ハードワークな人でも結果を出せる、医学的根拠に基づいた,ビジネスパーソンのための「快眠戦略」!

「一流の睡眠」

⇒バックナンバー一覧