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一流の睡眠
【第7回】 2016年8月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

「徹夜の翌日」をサラリと乗り切る4つのルール

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睡眠の悩みを解消するための情報は、これまでにも、さまざまなメディアでたくさん紹介されてきました。でも……。

・8時間眠りなさい
・できれば「22時」に眠りなさい
・規則正しく栄養管理の行き届いた食事を摂りなさい
・睡眠時間を確保することから1日をスケジューリングしなさい

「……いやいや、そんなの無理だから!」

そう思ったことはありませんか?

いわゆる「睡眠の常識」と、ビジネスパーソンの実態はかけ離れているのです。そこで本連載では、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えます。

第7回は、「どうしても徹夜」な時、翌日のダメージを最小に抑える方法をお伝えします。深夜のオリンピック観戦にも応用してみてください。

 

一流のビジネスパーソンは
徹夜の「医学的悪影響」を知っている

 先日、ある企業を訪問したところ、栄養ドリンクの空箱が置かれていました。社員さんに「箱買いですか?」と聞いたところ、「部署でまとめて購入し冷蔵庫にストックしています」とのこと。

 さらに「実際に飲んでいますか?」と聞けば、「徹夜明けはだいたい飲んでますね」との返答。徹夜が常態化して、翌日も体にムチ打つようにして頑張る職場なのだと思いました。

 睡眠を軽視している会社やビジネスパーソンがまだまだ多いことに驚きます。医師として、これは絶対に看過できないことです。結論からお伝えすれば、徹夜は最悪です。

 徹夜がもたらす睡眠不足は、眠気や全身の倦怠感、頭重感、不安、イライラなど身体的・精神的に悪影響を及ぼします。また、血圧や血糖や中性脂肪の値を上昇させ、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を悪化させたり、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを高めることが明らかになっています。

 さらに、免疫力を低下させ、インフルエンザなどの感染症、がんの誘因になることも示されています。また、満腹感を促し食欲を抑えるホルモン「レプチン」を減少させる一方で、空腹感を感じ食欲を促進する「グレリン」を増加させるため、肥満を引き起こすことも知られています。

 そして、睡眠不足はうつ病やパニック障害とも関係しています。そんな状態で不眠状態が続けば、自殺の危険性も高まります。徹夜続きは、文字通り、医学的には「百害あって一利なし」の行動なのです。

 そして、頭脳労働でハイパフォーマンスを目指すビジネスパーソンにとって、徹夜が最悪の行動である具体的なリスクは、次の「3つの低下」に集約されます。

【1】集中力の低下
 【2】記憶力の低下
 【3】思考力の低下


 徹夜したことのある方は、察しがつくでしょう。いずれもビジネスでのパフォーマンスを下げる重大要因になりえます。この3高ならぬ「3低」と引き換えにしてまで、徹夜をしなければならない理由はないはずです。

 また、私たちの脳にとって、睡眠は単なる休息ではなく、経験や情報の整理と定着に大きく関与しています。パフォーマンスにこだわるビジネスパーソンであればなおさら、脳をハイレベルに保つための睡眠を犠牲にすることはできる限り避けるべきだと言えます。

徹夜明けは「ビールを1~2本飲んだ状態」と同じ

 徹夜がどれほどビジネスパーソンにとって怖いものか、いろいろとデータがありますが、1つのわかりやすい例として、人は17時間以上起きていると血中アルコール濃度0・05%と同じレベルにまで作業能率が低下すると言われています。

 これはビール1~2本ほどを飲んだレベルで、酒気帯び運転で捕まってしまう数値です。また、徹夜明けは脈拍数が速くなり、体温も上がり、明らかに体の変化が訪れ、さらに理性が薄れてきます。仕事どころではありません。

「どうしても徹夜」の時
ダメージを最小化する4つのステップ

 長々と徹夜のデメリットを紹介しましたが、それでも、多忙なビジネスパーソンには、どうしても徹夜せざるをえない時があるでしょう。長いビジネス人生を、一度も徹夜せずに乗り切れというのもまた、現実的な話ではありません。その時の対処法は、拙著『一流の睡眠』に詳しく紹介していますが、ここではそのエッセンスを紹介します。具体的には、次の4つのステップを踏むことです。
 

(1)徹夜を決めた瞬間に翌日の予定を変更し、午前中を単純作業に充てる

(2)徹夜中に15~20分程度の仮眠をとる

(3)翌日、午前中の単純作業を終えたら、昼休みに仮眠をとる

(4)できる限り早めに仕事を終え、その夜は十分な睡眠をとる

 

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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