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日本の株価は過小評価されていないか?

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第155回】 2010年11月10日
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米国株の回復

 米国の株価は、ニューヨークダウで見て1万1千ドル台の推移となっており、リーマンショック以前の水準をほぼ回復した。FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和を受けて長期金利の水準が10年債で2.5%台まで下落するなど、金融緩和が株価を押し上げた格好になっている。加えて、FRBは、先般のFOMCで追加の金融緩和を決めており、あまり良い響きの言葉ではないが、所謂「カネ余り」的な株価の上昇がさらに続く可能性は大いにある。

 FRBの金融緩和に対しては、主に新興国から、実質的なドル安誘導であることと、新興国へのドル資金の流入が新興国の資産価格に対してバブル的なバイアスを与えていることに対して非難の声が上がっているが、バーナンキFRB議長は「ドルにとって最も良い基礎的条件は米経済が力強く成長することだ」と語り、相手にする気配がない。

 今後のG20会議にあっても、この問題は話題に出る可能性は大きいが、米国は韓国の協力を得て、経常収支水準に対する規制案に議論を誘導する動きを見せており、金融緩和政策の是非に関する議論が中心的話題になることを避ける戦略を採りそうだ。

 新興国は、外国資本の流出入の急激な変化が自国の経済に対してショックを与えかねない可能性を警戒しているが、資本が安定的に流入する限りにおいては、経済成長を促進する方向に働くので、米国の金融緩和自体にどうしても反対しなければならないというインセンティブは持たないはずだ。

 新興国に限らず、米国以外の各国は自国通貨高を現在望んでいない。自国通貨の騰貴を防ぐためには、自国の金融緩和か為替市場への介入を行う必要がある。中国に典型的に見られるとおり、為替介入は、自国通貨の流通増を招くので、結局金融緩和的に働く。

 米国を発信源とする世界的な金融緩和は今後も続きそうだ。これを見越して、金も原油も値を上げてきている。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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