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パニック相場から“衰弱相場”へ
株式市場低迷の出口はどこか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第67回】 2009年3月3日
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 足許の世界の主要株式市場は、再び本格的な下落局面に転じ、いずれもジリジリと株価が下がる不安定な展開を続けている。

 「一気に急落の方がまだよい。今回は、小幅な急落を含みつつも、全体的にはジリジリといつ終わるともない下げ方が続いている。これでは、“買いチャンス”を掴むのが難しい」

 あるベテラン・ファンドマネジャーはこう言う。

 その通りだろう。昨年のリーマンショック後のように、株式を売りたい投資家が一気に売ると、相場全体は急落する。しかし、それで株式市場は一旦“アク抜け”する。売りたいと考えている投資家(潜在的な売り)の多くが、実際に売ってしまうわけだから、基本的にそれ以上の売り手はいなくなる。

 そうなれば、今度はそれを待っていた潜在的な買い手が、一斉に市場に入ってくる。それによって、それまでの相場は一旦ご破算になり、次の日から新しい相場が始まるのだ。

 だが、今回のように、株式市場がジリジリと値を下げる場合は、その後すっきりと新しい相場が始まることは難しい。株価が、下落トレンドの中で行ったり来たりを繰り返すため、売りたい投資家は、「少しでも株価が戻ったところで売ろう」とする。

 どうしても売りを小出しに出すこともあり、株価は大きく下げにくい。そういう状況が続くと、「買いたい」と思っている投資家も、買いンポイントを見つけることが難く、なかなか踏ん切りが付かない。

 結局、「株価が下がったところを丹念に拾う」という保守的な投資行動になるため、市場の取引高が減少しやすく、相場動向に「動き=ダイナミズム」が出て来ないのである。これは、まさに“衰弱型”の様相を呈した相場と言えるだろう。

 そうした株価動向の背景には、「世界経済が依然、大きな不確定要素を抱えている」という理由がある。具体的には、主に大手金融機関が抱える不良資産の処理が進んでいないことに加え、大手自動車企業の今後の展開の構図が見えないことだ。

 それらの要因に関して、ある程度先行きが見えて来るまで、現在の相場展開が続くことは仕方がないだろう。焦ることはない。投資家は、今年はじっくりと腰を落ち着けて、株式投資のチャンスを待てばよい。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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