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ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦

中国を弱体化させるには韓・露との関係改善が必要だ

北野幸伯 [国際関係アナリスト]
【第27回】 2016年9月5日
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中国の挑発が激化している。領海、領空侵犯は日常茶飯事。日本政府が抗議しても、「尖閣はわが国固有の領土なので、何も悪くない」と開き直っている。いまや中国は、日本にとって「最大の問題」になった。そこで今回は、中国の戦略を破綻させ、同国に勝利する方法を考えてみよう。

強まる中国の挑発
「米国が助けてくれる」は本当か?

 今年の夏、中国の挑発が激化した。いくつか例をあげてみよう。

・6月9日 中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦1隻が久場島北東の接続水域に入る。

・6月15日 中国海軍の艦艇が鹿児島県の口永良部島周辺の領海に入る。

・6月17日 中国軍機が日本に向けて南下し、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)。一時「ドッグファイト」状態に、陥る。

・6月30日 自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は記者会見で、今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の回数が、200回(!)だったことを明らかにする。

 そして、極めつけは8月3日から11日までの挑発だった(太線筆者、以下同)

。

 <海保によると、中国公船は3日に3隻が接続水域に入って以降、8日には最多の15隻が入り、領海への侵入も28回あった。
 周辺の海域には一時、中国漁船が約400隻集まっていた>
(朝日新聞デジタル8月11日)

この夏、暴走した中国の日本への挑発行為。今の日本にとって、もっとも重要なのは対中国戦略であり、そのためには、韓国やロシアとの関係改善が不可欠だ Photo:Yonhap/AFLO

 このような事態になると、日本人はパニック状態になり、「米国は助けてくれるのか?くれないのか?」といった「依存丸出し」の議論に終始してしまう。

 しかし、米国はアテにならない。ジョージア(旧グルジア)が2008年8月、ロシアと戦争したとき、米国は助けてくれただろうか?ロシアが14年3月、クリミアを併合した時、米国はウクライナを助けただろうか?残念ながら、「結局頼りになるのは自分」というのが、国際社会の現実なのだ。

 それはもちろん、「日本一国で中国と戦争しろ!」という意味ではない。それは賢明ではないし、「必敗の道」でもある。では、どうすればいいのか?

 中国の指導者たちは、いまだに「孫子」を心から尊敬し、その兵法を学びつづけている。その孫子は、こんなことをいっている。

<上兵は謀を伐つ。
 其の次は交を伐つ。
 其の次は兵を伐つ。
 其の下は城を攻む。
 城を攻むるのは已むを得ざるが為なり。>

 意味はこうだ。「最上の戦いは、敵の謀略を読んで無力化することである。その次は、敵の同盟、友好関係を断ち切って孤立させること。それができなければ敵と戦うことになるが、城攻めは、他に方法がない場合に行う最後の手段である」。

 私たちは中国と戦闘したくなければ中国の「謀」(戦略)を知って、それを無力化させる必要がある。それが孫子の思想によれば「最上策」である。

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北野幸伯 [国際関係アナリスト]

きたの・よしのり/1970年長野県生まれ。モスクワ在住24年の国際関係アナリスト、作家。その独特の分析手法により、数々の予測を的中させている。1996年、日本人で初めて、ソ連時代「外交官・KGBエージェント養成所」と呼ばれたロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を卒業(政治学修士)。1999年創刊のメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」は現在読者数3万6000人。ロシア関係で日本一の配信部数を誇る。主な著書に「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)、「プーチン最後の聖戦」、「日本自立のためのプーチン最強講義」(共に集英社インターナショナル)など。


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