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吉田恒のデータが語る為替の法則

今年の「ユーロ高」はすでに終わった!
「買われ過ぎ」修正で1.33ドルを割り込むか

吉田 恒
【第106回】 2010年11月17日
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 予想どおり、米ドル高への急激な転換が起こってきました。その中で、「ユーロ安・米ドル高」の動きは「円安・米ドル高」以上に広がってきました(「11月はポジション大転換が起こる月。米ドル安相場もいよいよ反転か」を参照)。

 私は、今年の「ユーロ高」が終わり、ユーロ一段安の動きが始まったのではないかと思っています。

 ただ、年末は「ユーロ高」になりやすい傾向があるため、ユーロ一段安が進むかどうかについて、この11~12月をどう乗り越えられるかに注意する必要があると見ています。

1.33ドルを割り込むような「ユーロ安」が始まった

 ユーロ一段安への展開が始まったと考えているワケは、そもそも、この間のユーロが「上がり過ぎ」で、その修正局面に入ったと見ているためです。

 「資料1」は、私が相場の短期的な行き過ぎをチェックする基本と位置づけている90日移動平均線からのかい離率を、ユーロ/米ドルについて見たものです(「相場の底や天井がカンタンにわかる吉田恒さんの秘密兵器とは?」を参照)。

 これを見ると、一時1.43ドル近くまでユーロ高が進んだ局面では、このカイ離率がプラス10%近くまで拡大していたことが見て取れます。

 これまでに、このカイ離率がプラス10%を超えたことはなく、その意味ではまさに「上がり過ぎ」の限界に達していたと言えそうです。

 ところで、このように上昇方向へと行き過ぎた動きは、その反動が入った場合に「振り子の原理」が働いて、大きく下落するのが基本です。

 経験的には、その動きは最低でも90日移動平均線を割り込むまで続くものです。11月12日(金)現在で、90日移動平均線は1.33ドル程度に位置していますから、最低でも1.33ドルを割り込むような「ユーロ安」が始まったと考えられるわけです。

ユーロは「買われ過ぎ」の反動が入っている

 それでは、ユーロが売られるとして、その理由は何でしょうか?

 今年は、夏前までギリシャをはじめとする欧州の国々の財政問題が深刻化し、「ユーロ危機」と呼ばれました。

 そして、ここに来て、アイルランドなど欧州の一部で財政悪化懸念が再燃していますが、これがユーロ売りを広げるようなことになるのかと言うと、正直言って、今の段階ではよくわかりません。

 そこで「資料2」で、欧州の信用リスクを示す代表的な指標の1つである「欧州CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数」を見てみましょう。

 アイルランドの財政問題などが話題になっていますが、それでも、今年最悪となった6月初めに比べると、まだまだかなり改善された水準で推移しています。

 ただ、11月初めにかけて、欧州の信用リスクがかなり改善してきたのは事実ですが、それでも、今年初めの水準まで回復したわけではありません。

 それにもかかわらず、ユーロは今年初めの水準近くまで買い戻されています。つまり、信用リスクの割りには「買われ過ぎ」で、その反動が入っているということだと思います。

ユーロがすぐに、大きく下がらない可能性も!?

 このように、ユーロが「買われ過ぎ」の反動局面に入っているならば、11月上旬につけた1.42ドル台後半が「今年最後のユーロ高」だった可能性が高まるし、このままユーロが売られ、しばらく下落しても何の驚きもありません。

 むしろ、こういった状況にもかかわらず…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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