ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して巨大流通グループ、「ユニー・ファミリーマートホールディングス」が誕生した。しかし、今回のファミマとユニーの経営統合を苦々しい思いで見ていたのは店舗数で業界3位に転落したローソンだろう。ローソンはセブン-イレブン・ジャパンに続いて万年2位の立場だったが、今度はファミマに「追われる立場」から、「追う立場」に逆転するからだ。しかし、ローソンは「最後の切り札」ともいうべき一発逆転のカードを握りしめている。(流通ジャーナリスト 森山真二)
ファミリーマートと
ユニーグループHD経営統合の衝撃
ファミリーマートと、サークルKサンクスを傘下に持つユニーグループHDが経営統合することで、コンビニ店舗数は単純合算で約1万8100店、売上高は約2兆9400億円となり、セブン-イレブン・ジャパンの店舗数である1万8860店に肉薄、セブンの売上高にはまだ1兆円以上差があるが、3位になったローソンに対しては店舗数で約5600店の差、売上高で1兆円近くの差をつける格好だ。
実のところ、ファミリーマートは現在のユニー・ファミリーマートHDの社長となった上田準二氏が社長時代の遡ること7~8年前からユニーにラブコールを送り続けてきた。上田社長の“出身地”でありファミマの大株主である伊藤忠商事も動かし、伊藤忠がユニーに出資するなど、早くからコンビニ2位への浮上とローソンに対する「防衛線」を張ってきた。
もちろん、新たに出発した「ユニー・ファミリーマートHD」とて先行きは決して平たんな道のりではない。既に統合にあたって、サークルKサンクスの全店舗の約6分の1にあたる1000店を閉鎖すると発表しており、実質統合後の総店舗数は1万7000店強と、店舗数は早くも大きく目減りする。
ユニーの総合スーパー(GMS)事業も業績不振が続く。流通業界ではユニーばかりではなく、イオンもセブン&アイHD傘下のイトーヨーカ堂も不振で、GMS各社はまだ「GMS再生の解」を見出していないのが実態だが、ユニーはファミマとの経営統合前の2019年2月期までに、不採算のGMSを25店閉鎖し、GMS事業の収益力の回復を目指す計画を立てている。
ユニーは、サークルKサンクスやユニーのGMS事業のリストラに伴う特別損失など約720億円を17年2月期までに計上することにしている。なかでもサークルK閉鎖に伴う損失はわずかで、大半がGMSの収益の回復が見込めない店舗の固定資産の減損処理。このため、ライバルのスーパーでは「25店程度の閉鎖では済まないのではないか」と冷ややか目でみている。