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少額投資の非課税制度が
“看板倒れ”に終わる理由

週刊ダイヤモンド編集部
2010年11月22日
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 2010年の税制改正大綱に盛り込まれた新たな投資税制に、証券業界からブーイングの嵐が巻き起こっている。

 事の経緯はこうだ。株式の譲渡益や配当に課される税率は本来20%だが、株式市況の低迷を理由に10%に軽減されていた。それが12年1月から、原則の20%に戻されることになった。

 その代わりに今回、「投資の裾野を広げる」(関係者)目的で新たに導入されることになったのが、年間100万円までの上場株式や株式投資信託が対象となる「少額投資非課税制度」。これらの金融商品から得られる譲渡益や配当などが非課税になるというものだ。

 ところがこの制度の中身が欠陥だらけ。たとえば、100万円の枠内であっても途中で別の商品に買い替えた場合、非課税の対象にならない。そのため一度購入したら保有し続けざるをえないのだが、「株価が下がっている局面で、商品を持ち続けたいという投資家はあまりいない」(大手オンライン証券)。

 それだけではない。非課税口座は3年間にわたって毎年1口座ずつ、合計300万円まで拡大できる。ところが、なぜかこれらの口座を一つにまとめることが制度上できず、「手続きも煩雑になるし、利用するうえでも不便極まりない」(証券関係者)ほどお粗末な設計になっているのだ。

 こうした欠陥は利用者を敬遠させ、「新たな資金が投資に回るとはとうてい思えない」(大手証券担当者)。にもかかわらずこの制度、3年間の時限的措置となっており、「新たなシステム投資コストすら回収できない」(同)。ある証券会社では2億円強の赤字となる見込みで、「対応するかどうかも検討中」と及び腰。どの証券会社も、多かれ少なかれ事情は同じだという。

 そもそも当の国税庁でさえ、「3年限定の制度のため、われわれ自身もどこまでシステム対応するかわからない」(税務当局関係者)というから、制度が看板倒れに終わることは目に見えている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

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