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中国がG20でオバマ大統領に働いた「非礼」の裏側

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第445回】 2016年9月13日
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今回のG20会議は、中国が「生の姿」を見せたともいえる Photo:AP/AFLO

中国がホストを務めたG20
習近平国家主席は大成功と自画自賛

 9月5日、中国がホストを務めたG20の会合が閉幕した。首脳宣言の内容を見ると、保護主義への反対などが中心で目新しさは全く感じられない。

 一方、中国の習近平国家主席は、会合は大きな成功だったと自画自賛している。同主席にとって、今回のG20は、中国が国際社会の重要な一員であり、主要国をまとめるリーダーであると誇示する絶好の機会だった。

 その背景には、来年秋の中国共産党第19回全国代表大会(共産党大会)に向け、習近平が権力基盤の強化を狙っていることがある。2017年秋の共産党大会では、政治局常務委員(共産党の最高意思決定機関)のメンバー入れ替えが見込まれる。この大会は5年間の国家方針を決める場だ。それだけに、習近平が求心力を高めるための実績作りに勤しむのは当然だろう。

 リーダーぶりを誇示するためには、対中批判は抑えなければならない。そこで、中国はG20の議論を経済問題に集中した。わが国からは海洋進出への懸念が示されたが、それが他国に共有されることはなかった。

 確かに、中国にとっては、事前の想定通りにG20会合は進んだかもしれない。それによって、共産党指導部の実力を国内に喧伝することもできただろう。当面、習近平は自らの権力基盤を強化することができただろう。

 しかし、それは、習近平主席が自身の基盤強化を目的に行ったことで、国際社会のことを考えてのことではない。つまり、中国は今でも、「自国の事情」を優先せざるを得ないということだ。

 それでは、中国は、すぐに主要先進国の仲間に入ることはできない。今回のG20会議は、そうした中国の内情を世界に示す結果となった。「中国は意外にわかりやすい国だった」という印象を持った人は多かっただろう。

「中国の威信」を内外に
発信しようとの思惑

 浙江省杭州市で開催された20ヵ国・地域(G20)首脳会合に関して、中国はホスト国として国際社会を仕切り、成功を演出することに大きな意義を見出していた。習近平の指導力のもとで国際会議を成功させ、中国の威信を内外に発信しようとの思惑があったからだ。

 世界の首脳が集まる機会としては、主に二つの会議がある。G7とG20だ。G7は米英独仏日伊加の先進7ヵ国が参加し、約40年の伝統を誇る。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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