なぜ「発想力」なのか。なぜ子ども向けなのか

「みなさん、きょうは『ボール』の、おはなしをします!」

 これが、私の小学校PTA会長としてのデビュースピーチ第一声です。私の「子ども向け発想力講義」のスタートでもありました。

小1にピンポン球で伝える交通安全

 2006年の8月にアクセンチュアを辞め、「教育」の世界へ。ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社以来20年弱続けた経営戦略コンサルティングからの、転身でした。

 と言っても何をするか決めてはいなかったので、辞めてから1年余、次の道を模索していました。自分に何が出来るのか、自分ならではのものは何なのか

 ただ、座って悩んでいても仕方ないので色々な方に会い、お話しをしました。「なるべく若い人向けに、教育的な活動を行いたい」と。

 現場に近い方ほど「テーマは何ですか?」「なぜそのテーマなのですか?」と直接的に突っ込んで来ます。「考え中です」では話しにならないので、とにかくなんか言わなきゃいけません。

 仕方がないので言ってみます。「テーマは『発想力』です!

 一旦言ってしまえば、理由はどんどん出てきます。

「これまで何百人も20代30代の入社希望者を面接してきました。でもほとんどの人は発想が通り一遍でツマラナイ。これからの日本には、よい発想がもっともっと必要になってくるというのに」

「意味のある、独創性のある発想のためには、そのための『姿勢』と『力』 が不可欠です。でも、大人になりきってからじゃ、遅い(*1)

「これらは若いときほど得やすい。でもそういう姿勢や力を『教える』のは、とても難しい」「だから、やりたいのです」

 「もっと子どもたちに、面白いものを見つける『良い目』と『考え抜く力』を持たせたい」「発見力と探究力だ!」

 2007年4月春、97名の小学1年生、その保護者200名弱、そして在校生代表としての2・6年生170名、来賓、全教職員、計550名を前に、私はゆっくりと、大きな声で、話し始めました。

*1 間に合わないことはないが、それまでの時間が勿体ない。