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一流の睡眠
【第15回】 2016年9月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

デキる人の「睡眠」は、ここまで違う!
仕事の集中力がアップする「ベスト睡眠時間」の見つけ方

日本のビジネスパーソンの3分の1が、「十分な睡眠がとれない」と悩んでいると言われます。

しかし、常に一定以上の成果を出し続ける人は、「自分なりの睡眠習慣」を身につけているケースが多いのです。

疲れを吹き飛ばし、翌日にベストパフォーマンスを出すための「ベスト睡眠時間」の導き方をお伝えします。

(本連載は、医師×MBA×経営者のトリプルホルダーで、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、発売まもなく増刷を重ねる新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えるものです)

日本は「不眠大国」になりつつある

 私は、患者さんと接しているとき、「何時間眠るべきなのか?」という考え方に囚われてはいけない、と話しています。

 とはいえ、周囲の人が何時間眠っているのかは、気になるトピックでしょう。総務省統計局によれば、平成23年の日本人の平均睡眠時間は全年齢で7時間42分。男性は7時間49分、女性は7時間36分でした。また、年齢別の睡眠時間を見ると、男女ともに「45~49歳」が最も短いようです。会社で言えば、責任のある地位や役職につく年であり、家庭では大黒柱としての役割が増している時期です。

 OECD(経済協力開発機構)が2014年に行なった国際比較調査では、各国の15~64歳までの男女の睡眠時間を比べてみると、日本人は男性が3番目に短く、女性は最も短いという結果が出ました。

 もう少し詳しい研究を紹介しましょう。睡眠や不眠に関する意識と行動の実態を把握する調査で、「日本・アメリカ・フランスの3ヵ国で、30歳以上の成人6973人」を対象にした、大規模なアンケート調査があります。

 フランスやアメリカと比較して、日本人の睡眠時間は短く、かつ睡眠時間も睡眠の質に対する満足度も低いという結果が出ています。また「日中に集中力、気力・充実感の低下や、眠気を感じる割合」も日本人が高いのです。

 不眠者の割合は、日米仏ともに30~59歳のほうが60歳以上よりも高く、男性より女性に高い傾向がみられました。不眠者の意識および行動をみると、米仏と比べ日本では「不眠について誰かに相談する」と回答した割合は低く出ており、ひとりで思い悩んでいる姿が浮き彫りになっています。

 どうやら日本人は睡眠の量も質も低めで、不眠に関して孤独に悩んでいる姿が浮かんできます。日本は「不眠大国」になりつつあるのかもしれません。

睡眠に「絶対解」はない
だから自分で「最適解」を見つける

 他の国々との比較、男女差の比較データを紹介しましたが、「何時間眠るべきか」という問いに対する結論は、「人それぞれ」であるというのが、現在の多くの専門家の意見だと言えそうです。「睡眠は8時間以上必要」という説は、正しくありません。4時間半睡眠でスッキリの人もいれば、8時間で寝足りない人もいます。

 また、健康管理上、「22~2時は睡眠のゴールデンタイム」だとも言われます。しかし、多忙なビジネスパーソンにとって、毎日22時にベッドに入るというのは、現実離れした話だと言わざるをえないでしょう。

 つまり、睡眠には「絶対解」がないのです。だからこそ、一般論やメディアの情報に流されることなく、自分自身に最適な睡眠時間を把握して、「最適解」を得る必要があるのです。

深く眠るためのちょっとした「メモ書き」を紹介します

「起床後10秒」で自分だけの傾向が見えてくる

 自分に最適な睡眠時間を発見する第一歩は、無自覚な自分の睡眠を可視化すること。ビジネスにおける問題解決と同じように、自分の睡眠の問題点を「見える化」するのです。

 まずは2週間、「就寝時間」と「起床時間」の記録をつけてみてください。枕元にメモを置いて、「寝入りそうな瞬間」と「起きた瞬間」に、覚えている範囲でパパッとメモするだけでOKです。1日10秒、ベッドの中でできます。

 次の2つの表は、私の過去の睡眠記録です。1つめが「土日を含めた2週間」の記録、2つめが「土日を除いた平日のみ」の記録です。

↑土日に長めに眠っていることがわかる

 平日の就寝時刻は21時30分~23時30分、起床時刻は5~7時。土日休日はやや早めに就寝。平日の平均就寝時刻は22時27分で、だいたい22時30分にはベッドに入っています。次の日の平均起床時刻は5時43分。朝6時前には目が覚めます。睡眠時間の平均は7時間16分。この2週間は、いつも通りのパフォーマンスで大きなミスもなかった期間です。体調も良く、日中の眠気もほとんどありませんでした。

 つまり、翌日のパフォーマンスから考えた私のベストの睡眠時間は、約7時間ちょっとだと言えます。日本人全体の睡眠時間よりも、若干少ない程度でした。

 そして、この2つの表から、私の平日の睡眠時間は平均で7時間強。土日は、平日よりも1~2時間多く寝ることで「借金返済」し、週間平均で7時間30分強の睡眠時間を確保していることがわかります。

 メモの取り方を詳しく紹介しましたが、上記の結果は私の個人的なものであり、みなさんがそのまま参考にすることはできないでしょう。

 重要なことは、これは、私自身にしか導き出せなかった結果だということです。「8時間神話」や、短時間睡眠をすすめる書籍、周囲の一般論などに振り回されていると、自分にもっとも適した睡眠時間には永遠にたどり着けません。自分に合わない睡眠時間を無理に続けようとすると、かえって体調を崩す原因になりかねません。絶対的な睡眠時間を信じて探すことには、意味がないのです。

 なお、本記事の元になっている書籍『一流の睡眠』では、あくまで、ビジネスパーソンのための、「仕事のパフォーマンス」に特化した睡眠法を紹介しています。この睡眠メモをつけてみると、4時間半睡眠でも、日中のパフォーマンスが下がらないことを発見する人もいると思います。

 ただし、「健康を維持する」という観点においては、糖尿病や高血圧、うつ病などにかかる確率は、7~8時間前後の睡眠をとっている人が最も少ないというデータがあります。病気のことに気を配る姿勢も、是非、忘れないでいただきたいと思います。

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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