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一流の睡眠
【第13回】 2016年9月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

デキる上司は、部下の「この変化」を見ている

社内競争を勝ち抜いてマネージャー職に就いている人ならば、若いときに「睡眠時間を削って頑張った経験」がある人は多いでしょう。しかし、同じことを部下にも求めると、逆効果になりかねません。

多様な部下がそれぞれの持ち味を生かして、結果として「チームの成果」を最大化するために上司がすべきことを、「睡眠」という視点から考えていきます。

(本連載は、医師×MBA×経営者のトリプルホルダーで、ビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、発売まもなく増刷を重ねる新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えるものです)

「一流のビジネスパーソン」を判別する
医師の3つの質問

 チームの成果を最大化することが至上命題であるマネージャーにとって、部下のパフォーマンスを上げるための気配りは欠かすことができません。

 密なコミュニケーションで部下を気遣う上司、率先垂範で行動する上司、ブルドーザーのように自ら顧客へアタックする上司、部下の家族のことまで思いやる上司。

 そんな「理想の上司像」は、職場や時代によって異なると思いますが、あなたの職場の理想の上司像の中に、「部下の睡眠に口を出す上司」を入れていただきたいのです。

 私は外来で訪れる患者さんに、必ず次の3つの質問を投げかけます。

「おいしくごはんを食べていますか?」

「よい便が出てますか?」

「ぐっすりと眠れていますか?」


 つまり、快食・快便・快眠の「3つの快」を確かめているのです。この3つが良好であれば、患者さんの体調はそれほど心配しなくてよいレベルだという経験則があります。

 裏返せば、「食欲がない」「便がすっきり出ない」「夜にぐっすりと眠れない」の中でどれかの症状があると、体の不調やメンタル面の悩みなど、何かしらの不調が隠れている場合が非常に多いのです。

若い部下には、
スキルの前に「眠り方」を指導せよ

 「もっと足で稼いで来い!」と激励しても、良く眠れていない部下に対しては効果を発揮しません。精神的な疲労を抱えている部下にそんなことを言えば、逆効果どころか、うつ症状を引き起こす原因にもなりかねません。

 とはいえ、あまり部下のプライベートに踏み込み過ぎれば、パワハラだと言われる時代です。そこで、たとえば成績が振るわない部下がいたら、まずは、「良く眠れているか?」と聞いてあげてください。

 もし、部下から「いえ、実は睡眠不足で……」という答えが返ってきた場合、「どれくらい眠れてないのか」「どうして眠れないのか」の2点を確認しましょう。

 睡眠時間を削って翌日のパフォーマンスに悪影響を及ぼすほどの残業をしていたら、上司には業務量をコントロールする責任があります。

 その際には、部下と一緒に業務の「見える化」をしてください。その部下がどこで躓き、何に悩んでいるのかを知り、業務負担が明らかになることで、睡眠時間を確保するための業務整理の方法が検討できるでしょう。もし、うつ病やメンタル不調による不眠の傾向があるのでしたら、早めに自社の産業医やかかりつけ医の受診をすすめましょう。また、ビジネスパーソンの生活に即した具体的な32の「快眠戦略」については、拙著『一流の睡眠』を是非参考にしてみてください。

 とくに若い人はついつい無理をし過ぎたり、逆に周囲に楽しいことも多いため、睡眠時間を安易に削る傾向があります。意識していないと、いちばん最初に削られるのが睡眠時間、ということになるのです。

 

「寝不足で頑張る」を評価しますか?

「睡眠時間を削ってでも仕事しろ」を
無自覚のうちに強要していないか?

 このように、部下が自ら気づきにくいところに先回りしてケアしたり、意識づけするのも上司の大切な仕事です。「体力のある若い時は睡眠時間を削ってでも仕事に打ち込むべき」という考え方自体は否定しません。上司自身にも、睡眠時間を削った努力が結果に結びついた経験があるかも知れません。

 しかし、これからは生産性の時代です。「仕事の量」に偏っていた考え方を少しずつ「仕事の質」にシフトしていく際に、「快眠」という視点を持っていただくことを、すべてのマネージャーにお願いしたいと思います。

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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