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一生を賭ける仕事の見つけ方
【第7回】 2016年9月26日
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斎藤祐馬

「起業がタブー」の家に育った「挫折者」は、
いかにしてアップル超えを誓って起業するに至ったのか?【立志編】
テラモーターズ代表取締役・徳重徹×斎藤祐馬 原体験対談〈前編〉

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2010年、設立趣意書で「アップル・サムスンを超えるインパクトを世の中に残す」と誓い、電気自動車メーカー「テラモーターズ」を起業した徳重徹氏。その突破力でいきなりグローバルに事業を展開し、「メガベンチャー」を目指して走りつづける日本が誇るべき起業家ですが、そんな徳重氏の最も強烈な「原体験」は、なんと「父親」だった!?
『一生を賭ける仕事の見つけ方』で、自らの原体験を探り、自分だけのミッションを見つける「感情曲線」というノウハウをまとめたベンチャー支援のプロフェッショナル、斎藤祐馬氏が、さまざまな分野で挑戦する人たちの原体験を明らかにする対談企画、第一弾!

「平坦な人生」と自分で決めつけていないか?

徳重 著書、読みました。挑戦する人にはやっぱり「原体験」ってあるんですね。僕にも、斎藤さんと似たような原体験があるので、非常に共感しました。

図1)「感情曲線」とその描き方(『一生を賭ける仕事の見つけ方』49ページより) <拡大画像を表示する>

斎藤 ありがとうございます。熱量を高く持って挑戦しつづける人は、みんなその挑戦の原動力となる「原体験」があるのではないか、そう思って今日は徳重さんにお話を伺いに参りました。就活生から相談を受ける機会も多くなってきましたが、原体験を持っているのにそれに気づかずに、「自分の人生は平坦だったので、原体験もない」と思い込んでいる人、かなり多いんですよね。でも、本書で紹介している「感情曲線」(図1)を書いてもらってまっすぐ横棒になる、という人はいないんです。

徳重 僕らみたいに振り切って挑戦できる人って、たしかにそんなにはいません。でも、「だからダメ」なんじゃない。人生の振れ幅がゼロ、感情曲線が横一線っていう人はいないと思うんですよ。僕なんか、振れまくってるから、ねじれもいろいろ大きいんだけど。下に振れるから、そのマイナスからヒントを見つけ出して、次のチャレンジをする、みたいな。その結果、上昇するか下降するかはわかりませんが、もう少し振れる。その振れるっていうのは、やっぱりその人の個性だと思うんですよね。斎藤さんは、最初はそういうのでもいいって本に書いたじゃないですか。それも素晴らしいなと。

斎藤 本当にそう思います。書籍にも書いたのですが、大学時代の友人とのLINEグループで、ちょっと「目線」が上がるような会話をしているうちに、みんな言うことや仕事への姿勢が変わり、「業界で一番になるんだ」などとミッションを見つけた、ということがありました。自分が最初にゼロからやりはじめる、というのは難しくても、徳重さんや僕みたいな「無茶する人」のまわりで挑戦する人が増えていってもいいと思います。

「会社はやってはいけない」
強烈すぎる原体験と、大きな挫折

斎藤 今回から始まる対談では、ゲストの方に実際に「感情曲線」を書いてもらって、「原体験」を明らかにしたい、という狙いがあります。それによって、読者の方にも、よりリアルに追体験してもらえるのではないかな、と。

図2)徳重氏自筆の「感情曲線」。20代前後、30歳手前、40歳過ぎに大きなマイナスがある <拡大画像を表示する>

徳重 ……大学って21か22くらいか……できました(図2)。

斎藤 まず、ご家庭はどんな感じだったんですか?家庭環境がものすごく重要だった、という方、結構多いんです。僕自身、中学生のときに父親が独立した、というのが原体験になって、今のミッション(ベンチャーの支援)につながっています。

徳重 本当に普通の家の、普通な感じなんですね、田舎の。ただ一つ違っていたのは、山口の田舎で、親父がめちゃくちゃ厳しかった、ということなんですよね。とにかく、いい大学、いい会社に行けっていうのを、小さい頃からずっと聞かされて。毎週、説教みたいな時間があって、正座させられて、「保証人になるな」とか、「墓参りはしろ」とか。いま振り返ってみれば、いいことも言ってるんですけどね。

 その中の一条に、「会社はやってはいけない」っていうのがあります。

斎藤 ええ!?徳重さん、「起業」はダメだって言われて育ったんですか?

徳重 そうなんです。後にわかったんですけど、うちのおじいさんに当たる人が、地元でかなり大きな事業、木材業をやっていて。でも僕が2歳ぐらいのときに、石炭から石油の流れのときに倒産しちゃったらしんですよ。当時、親父は中学生で、お坊ちゃまなんですよね。でも倒産ですから、スッテンテンになるわけじゃないですか。毎日、取り立てとか、悲惨な目に遭っているらしくて。だから、会社っていうのは、いつ、どうなるかわからない。だから、やっちゃいけない、と。とにかく公務員になるか大企業に就職する、それがうちの親父の凝り固まった思考でした。

 僕にとっては、本当に「赤信号で渡っちゃいけない」というくらいの、考えてはいけないことだったんです。それほどまでに強烈な刷り込みで、原体験になりました。だから、本当に真面目で、地元では結構できるぐらいの普通の人、というのが僕だったんですね。

斎藤 そんな家訓があったとは……。何がきっかけで変わったのでしょうか?

徳重 一番大きな転機は、浪人したことです。この感情曲線が急降下しているところです。東京、大阪で浪人するっていうのは普通なんだと思います。でも、僕らは田舎の高校で、卒業生300人くらいいましたけど、2人しか浪人してないんですよね。

 だから、浪人なんてあり得ないし、圧倒的な「挫折者」なんですよ。その時点で。学力が低いのを、高校へ通うのに2時間くらいかかる田舎に住んでいたせいにして、無理やり浪人したんですが、いざしてみたら2人しかいないんで、この選択でよかったのか、と悩んでしまいました。

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斎藤祐馬[さいとう・ゆうま]

トーマツベンチャーサポート株式会社 事業統括本部長。公認会計士。
1983年生まれ。中学生のとき、脱サラして起業した父親が事業を軌道に乗せるのに苦労している姿を見て、「事業を立ち上げたばかりの起業家を支援する人がいればいいのに」と何度も思い、やがてベンチャーの「参謀」を志す。
2006年、4度目の挑戦で公認会計士試験に合格し、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入社。会計監査やIPO支援業務に携わるものの、スタートアップ期のベンチャーへの支援ができないものかと悩み、単独でベンチャー支援を始める。
2010年、トーマツ内で休眠していたトーマツベンチャーサポート株式会社(略称TVS)の再立ち上げに参画する。従来の公認会計士の枠には収まらない「ベンチャー支援」という活動に対して当初は理解を得られず、社内からは逆風も吹くが、一つひとつ壁を越え、社内外に仲間を増やし、大きく成長するに至った。現在は、「挑戦する人とともに未来をひらく」というビジョンのもと、国内外で奮闘する100名以上のメンバーとともに、ベンチャーだけではなく、大企業、海外企業、政府、自治体などとも協働し、自らのミッションを生きる日々を送っている。自らの思いを「一生を賭ける仕事」につなげたその経験には、大学、企業、自治体などから講演の依頼が絶えない。
2013年4月より、現在は「起業家の登竜門」と呼ばれるようになった「モーニングピッチ」を仲間とともにスタート。これまでに700を超えるベンチャーの登壇を実現したモーニングピッチは、大企業やベンチャーキャピタル、メディアとの出会いの場をベンチャーに提供する、日本有数のプラットフォームとなっている。


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